• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第32章 ほころぶ










俺の言葉を聞いて、
やけに真剣な目をした睦が
こちらを見上げた。

何を言われるのかと身構えたその時、
意を決したように睦が口を開いた。

「我慢してるとかじゃ全然ないんだよ?
天元といられるだけで幸せなんだもん」

…意を決した割には、
あまりに可愛い答え。

やべェやべェ。
こいつは無自覚の魔性の女だって事を忘れてた。
うっかりしてたらこっちが喰われちまう。

「だからつい忘れちゃうんだ。
天元とお出かけするの、大好きなんだよ?
だけどここに居られるだけで
もう完結しちゃって…、
こうやって言われて思い出すの。行きたーいって」

「お前はほんっとに可愛いな」

その細い肩に顎を乗せ
小さな背中を抱きしめる。

あぁあまずい。
まずいな睦。
その可愛いさは俺を煽る。
今度はどうやってお前を喜ばせようか、
そんな事で頭がいっぱいになる。
これ以上俺のことばかにするつもりなのかよ。

「睦、もうやめてくれ」

祈るような俺の声に

「何を?」

少し焦った様子。
ここで『可愛いから』なんて言ったら
またご機嫌を損ねるのかな。

「いや。何でもねぇ。
弁当、作れそうかよ?」

何とか話をはぐらかそうとすると

「あ!ムリかも。材料買いに行かないと…」

すっかりそれに乗っかってくれて…
やっぱりただ愛しい。

「んじゃ、後で一緒に行こうな」

気持ちが溢れて
つい抱き寄せてしまう俺に

「うん…」

そっと寄り添ってくれて
俺は更に高揚した。
もう、こいつのためなら俺は何でもする…
















翌朝。
なんと、…快晴です!

ね?空ですら天元に味方するのよ。
この人が決めたら、もうそうなるんだから。

私は自分のことのように鼻を高くする。
……

で、

その天元様と言えば。

未だ寝床………


「天元っ‼︎いつ起きるの⁉︎」

お弁当は完璧。
粗熱も取れたはず。
蓋をすればすぐだ。

早起きのはずの天元は、
掛布の隙間からチラリと目を覗かせて
そわそわしている私を窺っている。

……あれ?
もしかして…



/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp