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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第31章 ゆめのとちゅう





でも確かにうちだし、
…でも…。


妙な違和感を抱えながらも、
縁側を眺める。
とっても久しぶりだけど、
ここで起きたことは
まるで昨日の事のように思い出せた。
不思議な気分。

「睦、いつもそこに居たよな」

天元がふと、懐かしそうな声を出す。
…さっきから…

「睦?」

あ、うん。そうだね。
私がこの縁側に居ると決まって天元が来てくれた」

いつも凭れかかっていた柱に
抱きつくようにつかまってみる。

この場所が大好きだったんだ。

「ここでよく星を見上げたな…。
ずっと1人でいたのに」

私が顔だけで振り向くと
すぐ後ろまで来ていた天元が
覆い被さるように抱きしめてくれた。

「俺が来て、よかった?」

少しだけ不安そうな問い。

「うん。すごく」

「…ホントか?」

くすりと笑い、私の髪に頬を寄せる。

「本当だよ。もう天元がいないと無理だもん」

「そっか。なら良かったよ」

よかったのは私の方。

「いつも優しくしてくれた」

「そりゃ、下心あったしな」

そうやって戯けてみせるけれど、
私は知っているから。

私の気持ちを、軽くしてくれるためだよね。
わかってるの。

「そんなんじゃなくて、
私を助けてくれようとしてたでしょ?」

「…どうだろうな?
睦がそう思うなら、そうなんだろうな」

そうやって、すぐに躱(かわ)そうとするんだから。
でも私だって、もうそんなに鈍感じゃないよ。
これでも天元のこと
わかっているつもりなんだ。

「私がつらい時、いつも居てくれた。
すごく、救われたんだよ?」

「俺はお前のためにいるからな。
そう言ってくれるなら俺の方こそ救われる」

「天元…」

「んー?」

私のほっぺたに口づけて
天元は夢見心地で返事をする。

「私の声が、聴こえるの…?」

そうとしか思えないほど、
私がこの人を求めた時に、
ちょうどよく現れてくれたのだ。
それで私が、どれだけ助けられたか知れない。

「聴こえてたらいいな。
俺は…残りの時間を睦以外には
使いたくねぇんだ。
お前の声が俺に届けば、無駄なコトせずに済む」



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