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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第30章 秋の思い出





「えぇっ、」

慌ててその水飴を受け取った。


射的屋さんに渡されたコルク玉は5つ。

私はてっきり、
天元が撃ち落としてくれるものだとばかり
思っていたの。

こう、手際良く…かっこよくさ、
お目当ての景品をパーンって。
そしたらそれを私に差し出して
お前のために、って…
いや、それはさすがに夢見過ぎだけど。

なのに…

「はい、コレな」

天元は私が持っていた水飴を取り上げ、
自分の口に突っ込んだ。
…棒を咥えたら危ないと思うな。
なんて考えていると、

両手に乗せられたのは、
コルク玉を詰めた鉄砲。

…え⁉︎

「はい、構えて」

えぇっ⁉︎

「持ったこともないのに!」

「しょうがねぇな。こう、持つだろ?」

天元の手が私の手を誘導した。
引き金に指を掛け
長い銃口を下から支えるように手を添える。

「ほんとは片手で持ちたいとこだが。
…ムリだもんな?」

鉄砲の重さを確かめて、

「……うん、」

片手では無理そうだと判断した。
重たいよ、これ。

「じゃあいい。
そうやってそこに身体を倒しとけ」

台の上に上体をのしかかるよう
背中を押されて…

「…こんなに?」

「近い方が有利だろ?
睦、ちょっと顔よけろ」

天元は私の上にぴったり
乗っかって、狙いを定め始め…

…それはわかるんだけど、ね、
近いねすごく。

「そわそわするんですけど…」

「あぁ?落ち着け。外すぞ」

話半分、
片目で覗き込み
少しずつ銃口の向きを調整するのに集中。

「ん。ここな」

「え?ここ?」

「おぉ、支えててやるから、撃て」

「撃つの?いいの?」

私は引き金に掛かっていた人差し指に
くっと力を入れた。
途端、

「あ!待て、お前あのネコだな?」

「えっ」

そうだ、私どれ欲しいのか言ってなかった。
のに、

「よくわかったね」

「あぁ、ならいい。支えてやるから
このまま撃っていいぞ」

天元に言われ、
私はちょっと怖くて
引き金を引く瞬間、目を瞑ってしまう。

でも強く支えてもらっていたおかげで
狙いをズラす事なく…

カランカラン!

と、大きな鐘の音が響いた。
射的屋さんのおじさんが
当たりの鐘を鳴らしたのだ。

落としたのは見事、あの文化人形。

「天元すごい!」

「撃ったのお前だろ?」




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