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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第30章 秋の思い出




「違うよ!すごいすごい!」

私が大興奮している所に

「おめでとうお嬢さん!」

射的屋さんが落ちたお人形を持ってきてくれる。

私は何となく、彼を振り返った。
にこっと頷いてくれる天元に
安心した私は

「ありがとうございます」

差し出された人形を受け取った。

「よかったな睦」

人形を撃ち取った事もだけれど、
この天元の笑顔を見られた事の方が
嬉しかったかもしれない。

「じゃ行くか」

水飴を舐めながら天元が踵を返すと、

「おい兄さん、あと4発残ってるよ!」

射的屋さんは慌てて私たちを引き止めた。

「あー…いいよ、欲しいモンは手に入れたしな?」

天元は私を見下ろして…
射的屋さんではなく私に言ったように見えた。

「欲がないねぇ。ほんとにいいのかい?」

「あぁ、そこのガキにでもくれてやるよ」

隣で必死に狙いを定めていた男の子に、
そのコルク玉を譲った。
その子は嬉しそうに笑って、
横に控えていた母親らしき人が
申し訳なさそうにお礼を言った。

……優しそうな、…。

私がぼーっとその人を見ていると、
天元は私の頭にぽんと手を乗せる。

「行くぞ?淋しがりの睦チャン」

あー、バレた!
母親という存在を、意識したこと…。

「淋しくないよ!」

「そりゃそうだろ。俺がいるんだから」

相変わらずの、自信たっぷりな台詞。
でも、間違ってはいない、のかな?

そっか…天元のおかげで、淋しくないや。

「ありがと」

「んー?何がありがとだ?」

天元は何度も首をひねるのだった。




大荷物(お菓子たち)は天元の手に。
私は人形を片手で抱っこ。
スキップを踏む勢いで進む私に
手を引かれるようについて来る。

「随分と楽しそうだなぁ?」

「楽しい!すっごく楽しい」

「よかったよかった」

もしかしたら私よりも満足そうに笑って
天元はそれはもう上機嫌。

「まだ帰らない?」

「…何だか子どもみてぇだな」

「もー、また!」

「睦が可愛いからだろ?
全部の店回るんだよな」

「うん!」

「よし、」

心地いい喧騒。
夜なのに昼間のように明るくて、
私はまだまだ続く『初めて』に心躍らせていた。




☆彡


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