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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第30章 秋の思い出





懸念した通り、
すれ違う人たちはほぼ皆が
私たちの事をすごい目で見て行った。

なんだか…いたたまれなくなって
腕に絡めた指先を引き抜こうとした瞬間、
きゅっと腕を締められて
それを阻止される。

「…天元、」

不安になって名前を呼ぶと
予想に反してニッと笑った。

「俺らが仲良しで、羨ましいってさ」

「えぇ…?」

「何で俺らが遠慮しなきゃならねぇんだ。
仲がよくて悪ィ事なんてねぇ」

…そんな理屈が通るの?

「何でコソコソしなきゃならねぇんだ。
別に隠さなきゃならねぇ関係じゃねぇぞ。
夫婦じゃねぇの、せっかくの夜だ。
楽しまねぇとソンだろ?」

人目なんか気にしない。
そんな所は見習いたい。

「…うん!」

この人がいてくれたら、
誰にどう思われようがいいや。




少し歩いていて、何となく、…

「睦?どうした?」

「……何も?」

「…俺の事ナメてんのか」

鋭いにも程がないかな?
この違和感には、
私だってさっき気づいたばかりだと言うのに。

「…足か」

「天元怖い!」

「何でだよ」

「何でわかるの」

そう、天元はいつもピタリと言い当てるのだ。
しかも、劇的に痛みを感じていたわけではない。
故に、足を引きずったりは
していないというのに…。

「睦の事に気づけなくなるなら
俺は俺を辞めるね」

…ものすごく真面目に言われたが…。

「…どういうイミ?」

「俺はオワリってコト」

すごい覚悟ですね…

どんな顔をしていいのかわからなくなった私の
足を気遣って
身体を支えてくれる。

「さっき走らせたりしたからだよな、ごめん。
ちょっと座るか?」

「いいよ、大丈夫!」

「今ムリしたら後からひどくなるぞ」

「イヤ!無理したいの。
もっとたくさん回りたい」

「睦…」

天元は、珍しくわがままを言う私に
目を見張った。

「だって天元が言ったんだよ。
もっと甘えろって。いざ甘えたら
応えられませんなんて、
そんなコト言わないよね?」

せっかくのお祭りだよ?
生まれて初めての。
しかも天元と一緒。

この浮かれた雰囲気。
たくさんの人。
子どもも今日ばかりは夜遊びが許されて。
お社の方からは賑やかなお囃子が聴こえてくる。


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