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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第30章 秋の思い出





離した唇を追ってくる彼。
そうさせまいと横を向く私…

「着替えなんか自分でするから…ッ」

唇を諦めたのか、
矛先は目の前に曝された耳へ。

「ひ…っ」

どうしても
そういう雰囲気に持っていくつもりらしい。

「俺、着付けんの上手いだろ?」

耳元でやめて戴きたい。

私は呑まれないように必死だ。

「やだ…絶対に、それだけじゃ終わらない…っ」

「んー?」

ぱくっと耳を甘嚙みして、少しひっぱる。
早く頷けと言われているような気がした。

「着替えるには…っまだ早い、よ」

「だから、ホラ…」

「え…⁉︎」

いつの間に?と驚くほどの早技。
帯は全て解かれ、すでに彼の手の中。

「時間かけて…着せてやるから」

着物の内側へ侵入しようとする
妖しい手を必死で止めて、

「っや、…どれだけ時間かけるつもり?
着せる…んじゃなくて、脱がせてるし」

思い切り抵抗。
そうしたくもなるだろう。

何かしら理由をつけては
私を抱こうとするこの人は、
昨夜から今朝にかけて
立て続けに行為に及んだ。
もう充分だ。

「脱がせなきゃ着せらんねぇだろ?」

「自分で、着るの!」

「俺の手で綺麗にしてぇの」

「……」

それは、…
何とも魅力的な誘い文句…
簡単に、乗ってしまいそうよ。

「…揺らいだろ」

意地悪く訊く天元に、ぐうの音も出ない。

「……うん」

「ははっ、可愛いヤツ」

この人に着付けてもらうと、気崩れしにくい。
しかも、化粧のうでは私なんかより全然上。

「いやらしい事しないならお願いしたいくらい」

「それは…保証できねぇなぁ。
どんだけ戒めた所で、それを上回るからな、
お前の誘惑は」

「誘惑なんかしてない」

「してんだよ、俺のこと。常に。しかも本人無意識」

「やめて下さい」

なんてことを言うんだ。
人を好色者みたいに。

「それは天元でしよ。しかも意識的」

「そうだろうな、『睦狂い』だからな」

「……へ、…え?」

さも当たり前のような顔でしれっと言ってのける。
あんまりにも当然のような物言いに
私は一瞬で毒気を抜かれた。

「…ふ、ふふ…ばかね」

なんだか可笑しくなってどうしようもない私は
彼の首にぎゅっとしがみついた。

「ばかなのよ。睦の事しか考えてねぇからな」


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