第29章 ゆめのはじまり

「あ…っ、あぅ…」

解かれた帯。
袖を通しただけの夜着の中、
するりと侵入してきたあったかい手に
腰のあたりを撫でられて、
くすぐったさを感じながらも
その先を期待して身体を熱らせる私は、…
自分でもわかるくらいいつもとは違っていた。

ススっと上がって来た手に
胸の膨らみを押し上げるような愛撫をされる。
場所を探し当てられた頂が優しく擦られて

「あぁ、んっ…」

甘い声を上げてしまうと
口内を這い回っていた妖しい舌が
更にその奥をぬろっと舐めた。

「…ふぁ、んっ…や、」

あまりの浮遊感に恐くなり
少し逃げ腰になる私。
それを認めないとばかりに引き戻され
胸にあった手がお腹を通って
強く閉じたはずの足の間に到達した。

「んっ…やぁっ…！」

「なぁにがヤだよ…
こんなに、溢れさせて…もったいね…」

息を乱しながら天元は
私の足を持ち上げさせて
自分の肩に掛けた…

彼の両肩に、それぞれの膝裏を引っ掛けられ
しかも逃げられないように
左腕が私の腰を抱え上げていて

秘部が広げられた状態で
彼の眼前に曝されている状況…
逆さ吊りのようになった私は
起き上がる事すらできずに

「いやぁっ！離して…下ろしてぇっ」

羞恥にただ泣き叫んだ。

「零さず全部、…」

中途半端に言葉を残して
天元はそこに吸い付く。

「っあぁあ…！」

ちゅっと音を立てて離れたかと思うと
舌の腹で全体を大きく舐め上げてから
今度は陰核を強く吸う。

「や、だぁ！…っんぁああ…っ」

引っ張られるくらい強めに吸い上げられて
いやいやと首を振ってその快感に耐えた。
何かにつかまっていたくて
敷かれた掛け布団を強く握りしめる。

「睦…イイなぁ？ココ、好きだもんな」

「ち、が…ぁあん…！やぁあ、っ」

違う、と言った事を咎めるように
再び陰核を吸い上げられて

「あぁ、っす、き…！すき、ぃっ」

ちゃんと言い直すとその強さは増した。
そして舌先でチロチロと優しく舐められるような感覚。

「や、やめ…っあ、あぁあ…」

昂って達しそうになった私に気づき、
天元はすぐさまそこを離してしまう。

「ど、して…」

「…まだ、早い」