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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第28章 恋模様





「だって、私の前にいるからですよ。
あんな素敵な絵を描く人が
私の前に現れるから。
気になっちゃうでしょう?
いつも笑ってるなぁって…
なのに、絵を描く時は別人みたいに真剣な目をして
………言いましたよね、宇髄さんは
私にとって現実じゃないんです」

言いながら胸がズキっと痛むのを感じた。
こんな事が、私の言いたかった事なのだろうか。

「お前、それを泣きながら言うのかよ」

ポンと私の頭に手を置いて
宇髄さんが困ったような声で言う。

「こんだけ腕のいいカメラマンに撮ってもらって
光栄だがな、」

「でも犯罪者です」

「おい、話を遮るな。許してやらねぇでもない」

「…へ?」

「事と次第によっちゃ、
お前の犯罪を許すっつってんの」

宇髄さんはいたずらっ子のような目を
キラキラと輝かせて私に迫った。

「睦、こないだ俺に言ったよな。
『アイドル降格』って」

「言い、ました。悲しいことに」

「その悲しみをなぁ、俺が埋めてやろう。
人間としてな」

「…人間」

「俺を偶像にすんな。
睦はここにいる俺を認めたし
俺はお前が欲しい。
相互関係にあるよな?
もういいだろう。
こっそり俺を撮ることなんてねぇんだよ」

頭に置かれていた手が、抱え込むように動いて
私のおでこは彼の胸に当てられた。

「最初から言ってるだろ?
俺を好きだと言え。そしたら俺は
全力で睦を愛してやる」

この腕を、
広い背中に回してしまえば
それで済むのだろうか。
この人が、手に入るというのだろうか。

「…」

「いーえーよー、」

いじけた子どもみたいに、
私を全身で抱きしめる。

「お前、ずっと俺のこと撮ってたんだろ。
罪を償いたいなら、
俺のモノになるしか道はねぇぞ…?観念しろ」

その、ぴったりはまる感じが
思った以上に心地よくて
私はつい、腕を背中に回してしまった。

もう抗えない。

だって、私の中で人間に姿を変えたこの人は
こんなにそばにいて
私の事を想ってくれて…

だったら私が逃げる理由ってなんだろう。

「俺に、
睦を自由にしてもいい権利をくれよ。
絶対ぇに大切にするから」

おでこをくっつけて、
鼻先を絡めて
ギリギリまで唇を寄せる。

…前にも、こんな事があった…?


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