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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第28章 恋模様





「それは…」

少し悩んだ素振りを見せ
睦はチラリと部屋の中を振り返ってから
俺を見上げ、目が合った途端に
うろうろと視線を彷徨わせた。

…まぁ、そりゃそうか。
俺は前科1犯だもんな。

「いいよ、わかってるよ。そりゃ、
コイビトでもねぇ男を部屋に上げるなんて
とんでもねぇ事だ。
俺だってそれくらいわかってる」

「……」

「お前の無事がわかりゃそれでいい。じゃぁな」

そうしてくるっと踵を返し
1歩踏み出した俺の服の裾をハッシと掴み

「待って下さい、私…」

戸惑ったような声をあげた。
それに誘われて振り向くと
声以上に狼狽えている睦がいた。

「…どした」

「…何日目ですか、私」

やや日本語がおかしいが、

「3日目だろう」

休んだ日数の事かなと踏んだ俺は
確信のないまま答えてみた。

「みっ、か…」

呆然と口にして、
…その途端睦はフッと目を閉じた。
そうしてぐらりと、身体が傾いていく…

「えっおい⁉︎」

今倒れんのかよ!



俺の顔を見た途端、
…というより、『3日』というワードを聞いた途端
睦は意識を失った。

あの時の俺の反射神経を
誰かに褒めてもらいたいくらいだ。
…まぁ、誰かってのは睦の事だが。

勝手に悪いとは思ったが事態が事態だ。
ドアに施錠をし、

「…邪魔すんぞ」

意識のない睦にひと声かける。
部屋は適当に片付いていて、
適当に散らかっていた。
それがちょっと嬉しかった。

部屋は思ったよりも広い。
ワンルームかと思いきや、
もう1部屋あるっぽいし。

俺はベッドを見つけると
シーツをめくってそこに睦を
寝かせてやった。

…なんだってんだ。
これ、間違いなく寝てるんだよな?
あんなふうに、文字通りぶっ倒れるくらい
眠かったのか?
まさか、
三日三晩寝てねぇだなんて事ねぇだろうなぁ?

…しかし目の下にはクマ。
沈み込むような眠り。
その線も否めない…

俺は、何となく睦の手を握り
その枕元に頬を乗せた。

こんだけ近づいても
嫌がりもしなけりゃ逃げもしねぇ…

でも…キスしたら怒るんだろうなぁ…
でも寝てるし気づかねぇじゃん。

そんな事を考えながらも
はぁ、と無意識にため息をつき
同じように目を閉じる。



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