• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第28章 恋模様





「素直に言わないおくちは塞いでやろうか…?」


ふさぐ……

うそだ!

でも宇髄さんは塞ぐ気満々で
私を押さえ込んだまま
顔を寄せて来る。

「…や、で、す、よっ!」

ぎゅっと耳を引っ張り上げてやるが
そんなのはまったく効果なし。

「随分と可愛い抵抗をするんだな。
そんなんじゃ、俺の気持ちは止まれねぇけど」

そう言いながら
くっついてしまうギリギリまで
唇を寄せて来た。
こんなに近くに誰かに寄られた事がなくて
どうしたらいいのかわからない。
背筋がそわそわする。
私はもう
抜けようが切れようが構っていられなくなって

「とま、って下さい…!」

全部の指で宇髄さんの髪を掴み
ぐいーっと、力いっぱい後ろに引っぱる。

でもそれにさえ涼しい顔。

「ちゃんと言わずにキスされるのと、
素直に言ってからご褒美もらうのとどっちがいい」

言葉にすれば、離れてもらえるって事?
でも、その言葉だって
きっとこの人が望む物ではないけれど…

「…ごほうび、って?」

「キス」

「ばかっ」

私は髪から手を離し
思い切り宇髄さんの顎を押し上げた。
勢いが良すぎたのか、
宇髄さんの顎は天を向き
ぐき、っと
鈍い音が聞こえた…

「いっ、てぇ‼︎」

やば、やりすぎた…!

と、思ったがそのおかげで腕が緩み、
私はそこから抜け出す事が出来た。
これ幸いと、
距離を取りついでに荷物を手にしてから
玄関まで走った。

「あ、おいこら睦!」

呼ばれて、
咄嗟に首に手をやる宇髄さんを見るけれど
走り出した足はもう止まらない。

お礼だなんて言っておいて
こんな事をするから悪いのだ。
幻滅だ。
私の中の美しい宇髄天元像が
ガラガラと音を立てて崩れて行く。

「もう…宇髄さんなんてアイドル降格です!」

「はぁ?何の事…おい待てって!」

伸ばされた手に捕まるより早く、
私は宇髄さんの部屋を飛び出した。
そうだ、偶像だというのなら
ここに来てはいけなかったのに。
こんな所に来てしまった自分が悪かったのだ。

私は、自らの手で壊してしまった関係を悔いながら
とぼとぼと家路を辿っていった…



/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp