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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第28章 恋模様





カメラを覗いたまま近寄って行くと
…同じ人が描いたような、
こんどはブルーの…強そうな鳥の絵。
どこかへ飛び立とうとしている所だ。
強そうだけど、どこか可愛らしくて
私はまた笑った。

他にもまだあるのかな…

何となくそう思って、くるりと振り返ると
今までに見たこともないほど
真剣にキャンバスに向かう宇髄さんがいて、
私はそれから目が離せなくなった。

いつも笑ってるイメージだったから。
仲間の真ん中で、大声で笑ってる人。
そう思っていたけど…
そりゃ、そうだ。

いつも笑ってるわけがない。
…本気なんだな、何事にも。

そんな一面を垣間見て、
私の心は小さく震えた。

また、無意識にその姿をカメラにおさめていた…
ついでに、私の心の奥にまで。

「…俺を撮んなっつぅの」

キャンバスから目を離さずに、
しかも鉛筆は忙しなく動かしたまま
心から嫌そうな声を出す宇髄さんに、

「…宇髄さんなんか撮ってません」

私はすぐバレる嘘をついた。

「どう見……どう見ても…撮ってんだろ」

絵に集中していて、言葉は乱れがち。
会話をするのは無益。
そう判断して、私は他の落書きを探しにかかる。

「おい」

「はい?」

突然呼ばれて立ち止まる。

「あんまうろうろすんな、」

…なんですと?

「遊んでていいって言ったじゃないですか」

「ん…?あぁ、そう、だな…でもな、」

「この教室いいですね。なんか…雰囲気が」

うろうろするなと言う言葉で
興味が削がれた私は、
近くにある椅子に腰掛ける。

まぁ確かに、違う科の人間が
そんなふうに嗅ぎ回っていたら
あんまりいい気はしないのかもしれないな。

そう思って、私は机に上半身を預けた。

ひんやり冷たい机にほっぺたを乗せて
目の前にはカメラを設置。
机の高さからは、何がどんなふうに見えるのか、
それを検証しだす私。
本当は、床にカメラを置いて
景色を撮影するのが好きなんだ。

さっきの、窓からの景色と同じ、
角度が違うだけでまるで違うものになるのが
おもしろくて。

あの日、飛ばした写真もそうだった。
拾ってくれた宇髄さんは言ったのだ。
「この写真、ネコが撮ったのか?」
って。


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