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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第28章 恋模様





…食べろ、という事だろうな間違いなく。

でも、これに食いつく女ってどうなの…?

「遠慮すんな」

「…いえ、遠慮とかじゃなくて…」

「ん?」

片眉を上げて首を傾げる宇髄さんは
本当にわかっていないようだ。

「なんだよ、どこぞのお嬢か?
パンもご飯もかぶりつけませんか」

なんだか意地悪な言い方をされて

「そうじゃありません」

否定している間に
宇髄さんはおにぎりをひと口大、
指先に取って私に差し出した。

それが、まるでスローモーションのように見えて
私は映画のワンシーンを見ている気になった。



無意識のうちに、
カメラを構えて…
気がつけば
バシャッと、
大きなシャッター音。

「あ、お前何撮ってんだ」

「ぁ…ごめんなさい…つい、」

「つい、じゃねぇよ。今の消せ」

宇髄さんは指先のご飯を自分でパクッと食べ、
私のカメラに手を伸ばした。

「あ!だめですよ!消せません!」

「何でだよ、すぐ消せるだろそんなモン」

「消せないんですよ。だってコレ…」

私は手に持っている一眼レフの
裏側を宇髄さんに見せた。

「…フィルムなんです」

そう。
私のカメラはフィルムを入れて使うもの。
データではない為、消す事は不可能だ。

「何で今時そんなモン使ってんの?
不便だろうよ」

宇髄さんはワケがわからないというように
また首を傾げる。
…この人と私は、
悲しいけれど分かり合えない気がする。

「不便だからいいんですよ。
失敗したからってすぐ消しちゃうよりも、
楽しんだ方がいい。
その失敗がおもしろかったりするんです」

私は手の中のカメラをよしよしと撫でた。

「写真の出来も違うんですよ?
とっても柔らかくて綺麗なんです。
デジタルも美しいけれど…
なんだか、硬い気がして」

「わざわざ店に持ってくの、手間だろ?」

「いえ…現像も自分ちでやるので」

「…自分でやんの?全部?」

「はい。簡易的な暗室を作ってありますから」

「さすがは写真科だな。俺もやりてぇ!」

「今度やってみますか?」

「いいのか⁉︎」

宇髄さんは身を乗り出した。
…近い近い!

「い、いですけど…。
でも宇髄さん、課題で忙しいでしょ?」

「あー……だな」

ものすごく残念そうに肩を落とす。
あ、いけない…

「じゃ、…課題が終わったら…」


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