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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第27章 愛のカタチ





だって、あんなとこでキスなんてあり得ない!
もう公開処刑みたいなものだ。
みんな見てた。
だめなんだよあの人相手だと。

だからって殴るのはよくなかった。
いまでも手がジンジン痛む。
てことは、天元のほっぺたも同じダメージを
受けているに決まっているのだ。

なんて事しちゃったんだろう。
せっかくのデートなのに。
さっきから私は間違った事しかしていない。

こんな所に隠れていないで、
ちゃんと謝りに行かなくちゃ…

そう思って顔を上げた時、
ちょうど会いたいと思った人が
ちょっと焦ったように私のことを見下ろしていた。
立ちあがろうとした私を押し戻すようにして
身ぐるみ抱きしめてくれる。

強い力は痛いくらいなのに
今はそれが心地よくて
私はただ身を任せていた。

「睦ー」

私の肩に顔をうずめた天元が
くぐもった声で私を呼ぶ。
私は返事の代わりに、
彼の背中に手を回した。

「俺と出かけても、つまんねぇなぁ?」

「…えっ…」

「俺は楽しいけど、お前はやな思いするだろ?
外野なんて相手しねぇよ。でもお前は、
そうもいかねぇんだろう」

「待って、そんなこと…」

「俺は睦しか見てねぇよ?
誰にどう思われても関係ねぇし
睦しか気にしてねぇの。
でも、ごめんな」



「…やだ」

「あぁ、ごめんて」

「違うよ!そんな事ないし、…
天元が謝ったらいやだ…!」

「…ん?」

「私が悪かったのに。
勝手に落ち込んだ。そのくせ殴ったりして」

まだ赤みの残る天元のほっぺたに
ちゅっと唇を押し当てる。

「きれいな顔こんなにしたし」

「きれくねぇし。
つぅか俺があんなとこでキスなんかしたからだろ」

ごん、とおでこがぶつけられた。

「いっ、たぁ!」

「お前が泣くならもうイイヒトしねぇから」

どういう意味なのか訊く間もなく
深く口唇を塞がれる。
柱と天元に挟まれて逃げ場もないけれど、
逃げる気にもならない私は、
きっともう限界だったんだ。
この人は私のものだって、思いたくて。



「見て可愛い!」

瑠璃色の小さな魚、黄色くてとんがった魚、
目の前を色んな色がひらひら横切っていく。
私は水槽におでこがくっつくほど近づいて
群れをなして泳ぐそれらを
心ゆくまで眺めていた。


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