第27章 愛のカタチ
「俺は睦が好きだ。お前だけだ。
愛してる。それをお前はなんだ、
俺の女を貶(けな)すやつは、
お前でも許さねぇぞ!」
「天元…っ、声おっきい…!」
私が天元の口を塞ごうと伸ばした手を
がしっと掴まれた。
「それがなんだ!
この俺様に声をかけて来た軽薄な女どもに
見せつけてやろうか、俺の気持ちを」
「もういい!いいから、
私が勝手に落ち込んだだけだから!
ごめんなさい」
それでも、天元はおさまらなかった。
「睦が謝るな。
さっきの女のどれよりもお前が1番だ。
何で勝手に自信なくしてんだ。
俺はちゃんと、お前んとこに戻って来たろうが」
やめてって言ってるのに…
……でも、そんなこと言われたって…
「だって…しょうがないじゃん。
みんなキレイし、可愛い仕草するし
敵わないと思うじゃん。
私なんか可愛げないし。
…だいたい天元が声かけられたりするから
悪いんでしょ」
だめだ、自分がどんどんねじ曲がっていく。
ほんと…可愛げがない。
こんなんじゃ、遅かれ早かれ、天元に嫌われる。
だいたい天元が悪いわけないじゃない…
それなのにあんな…
「おぉ、俺のせいか。そりゃ悪かったよ。
ただ俺はお前が好きだから。
他なんかメじゃねぇんだよ!」
苛立った勢いのまま腕を強く引き寄せられた。
力で敵うはずのない私の体はテーブルに乗り上げて
身を乗り出した天元の唇と
ぶつかるように重なった。
……
隣のテーブルが、
子ども連れじゃなくてよかった…
とか…
飲み物を倒してこぼさなくてよかった、
なんて…
どうでもいいこと考えたりして。
人前で‼︎
とか、そんなこと、前は思わなかった。
お客さんと、平気で外でいちゃついてた。
でも相手が天元だと、照れるんだ。
恥ずかしくてムリ。
平手打ちされた左頬が痛ぇ。
あいつの力の強ぇこと…
あのちっこい体から
何であんな攻撃が繰り出せるんだ。
わかってんだよ。
あんなとこでキスなんかした俺が悪ィ。
思い出したくもねぇが、
昔は平気で外で客とくっついていたくせに、
俺とは絶対ぇそれをしない。
それは、客との線引きのようで
俺はちょっと嬉しかった。
大事にされているような気がしていたから。