第27章 愛のカタチ
これから支度をするんだと思うと
時間の遅れが気になって仕方がない。
「俺こうしてられたら
別にそれでもいいんだけど…」
なんて今更な事を言い出す天元。
「ねぇ、おかしいでしょ!
もう行こうよ!」
だって自分から連れてってくれるって
言ったのに…
私の全身を這い回る手を
必死に追い払いながら私はだんだんと
怒りが込み上げる。
「へぇイけば?」
「…な、っや!もうやだ、ばかなの!
自分が言ったくせに!8時!」
「高速使えば30分」
余裕で腰を進める天元。
何度も重ねた身体はドロドロに蕩けて…
ナカを往復する彼の欲にどうしても溺れてしまう。
だけど、解せない…
「だから、って!」
「文句言ってないで、可愛く啼けよ…」
「…っやぁ、んっ」
わざと強くする天元にしがみついて
彼の思うままに恍惚の淵に突き落とされる…
「きれい!」
開館は10時。
あんな事をしていたというのに
天元の言う通り、
それに間に合った。
…なんかムカつく。
時間までもが彼の味方か。
でも、展示された標本の美しさに
私の気分はダダ上がり。
色んな色で、
骨格を象った標本は
繊細で美しくて
ひとつを見るのに結構な時間をかけてしまう。
天元は私の後ろに張り付いて
同じようにそれに見入っていた。
「きれいなモンだな…」
静かに呟いて
ふと次の標本に目をやりそちらへ移動して行く。
だめだ、離れられない。
軟骨のように柔らかい部分は青色で、
硬い部分は紫色に染まるって
この間のサイトに載っていた。
そうやってわかった上で見ると
面白くて仕方なかった。
どれだけ見ても見飽きない。
と、ふと次の標本に移ってから…、
先にそっちへ行ったはずの天元がいない。
あれ?と辺りを見渡すと
見知らぬお姉さんと話し込む天元を見つけた。
…誰かな。
そう思うけれど、
次の標本が小さなカメだったので
そちらに気が向いていた私は
それほど気にはしなかった。
それが気になりだしたのは、
カメを見た後に、
今度は違うお姉さんと話しているのを
見た時だ。