第29章 27.
──ハルカが電話をしたのに出られなかった、彼の話。
ザンッ
高層ビル立ち並ぶ街中。俺は1人とある建物の前に来ていた。
遂に…遂に辿り着く事が出来た。俺が長年の間追い続けてきた最も因縁深い連中。
俺を不死身に、ハルカから笑顔を奪った連中を。
人類を駆使し世界を塗り替えようと企む、史上最悪の組織…!!シババワの大予言の災害はこいつらが起こす。間違いない!
肺一杯に空気を吸い、建物内に居る人影にぶつける。
「貴様らも今日で終わりだ!"進化の家"!」
人影は立ち止まる。
あれ、お客さん?お客さんだな?と惚けたような男の声。
「ふんっ、何度も拠点を変えて今はタコ焼き店に偽装か。なめてやがるな。
貴様らの足跡は全て調査済みだ、騙されんぞ」
たこやきの家と書かれた看板。メニューにはたこ焼き以外にもイカ焼きやねぎ焼きといったバリエーション。
進化の家に全く見えないような偽装、上手く隠したつもりだろうが…俺には通用しねえ!
俺はリボリバーの安全装置を外し、その人物へと向けた。
「今の俺はヒーロー"ゾンビマン"……死ねない体を持つ者。実験体サンプル66号、と言えば思い出すか?」
よく見りゃあ、その人物は見た目がゴリラだった。なのに喋る。
ゴリラはえ?という驚いた顔をして俺にこう言った…
「え、進化の家を倒しに来たヒーローのひと?
すいません、進化の家はもう壊滅しました」
……俺は声にならない叫びを上げた。