第102章 100.暴かれる事のない真実の墓
「これに出してくれ。残念ながらうちには本もAVなどはないからね、そこは自分でなんとかしたまえ」
「んなもん、抱いてる時のハルカのすっ裸でも考えとけば良いんだよ……
これに一発分抜いて入れろって事だな…、」
「ハルカの父親の前でとんでもない事を言うな、君というヤツは…」
この前のハルカとの行為を思い出しながら、既に半勃起の状態で茶の間を一度立ち去ろうとした時。
俺の背後にジーナスは言う。
「ゾンビマン。希望の森について、ハルカに伝えるつもりか?」
開けたふすまに手を掛けたまま、少し考えた。
そんなもの伝えて、ハルカの何になるんだ?喜ぶのか?ただ、悲しむだろ。俺は笑うあいつの笑顔が見たい。死ぬまで傷つく事実を伝えて、その笑顔を曇らせたくはなかった。
「何が希望だ、絶望じゃねぇか。死ぬまで今聞いた事を本人に言う訳が無いだろ、あいつの墓前でも言わん」
「そうか…、伝えないという選択をしてくれてありがとう。真実を伝えるという事が幸せであるとは限らないからね…、」
……調子の狂うやつだ。
科学者という性は変わらずとも、立派に父親という性が芽生えてきている。
無理に押しかけず、ハルカから来るのを待っているんだろう。
「あいつは幸せだろうよ。真実はどうあれ、ジーナス博士に引き取られて生きてこられた。
貴様は…まあまあ良い父親になれるかもしれないな、ハルカと和解が出来れば、の話だが」
「……」
思いつめたような顔でゆっくり俯く博士を見て、俺はふすまを閉めた。