第28章 26.
私の名前はハルカ。
ジーナス博士に養子にされ、やがて研究対象となった時は"77号"
そして……
「きゃーーーっ!風雷暴のハルカさんよー!」
「風雷暴さんが来たからには怪人も終わったな!」
──"風雷暴(ふうらいぼう)のハルカ"。そんなヒーローネームをつい最近貰った。
毎日出かけて、毎日怪人を狩る。手応えは感じなかったけれども、そんな怪人の中には災害レベル鬼も何体か入っていたらしく私の順位もA級16位からA級5位とまでなった。
それにより、私より上の3人はフブキの言っていたアトミック侍の弟子達とアマイマスク。フブキにも出来るという証明に、私はさっさとS級に上がらせて貰おう。
目の前の巨大なクワガタ虫に立ち向かった。
軽く大地を蹴って空に来れば、目で追うクワガタムシ。ハサミの間に人間の顔のような物がある。
羽を覆うその鎧。それが開くタイミングを私は待っていた。
宙を舞う私に狙いを定めた怪人は飛ぼうと決めたのか、パカリと背の鎧を開く。私はそれを逃さず、自身は空中、怪人の真上。鎧の無くなった背を目がけて圧縮した空気を飛ばした。
1発目、アスファルトで外れ。微調整をして2発目、命中。3発目も命中。トドメの4発目に雷神の力を込めたプラズマ弾、命中。
当たった2発でクワガタの怪人の臓腑を切り裂き、かき乱した上での電気だ。いわゆるオーバーキルではあるけれど敵対心のある相手をわざわざ逃す理由なんて毛頭ない。
赤茶色の体液を撒き散らし、怪人は地に伏っした。
倒した怪人の傍に近付き、人間の顔の部分に弾いた指から雷を起こす。きっちり最期を迎えさせなくてはいけない。
周りの状況を見て、怪我人や建物などの被害状況を協会に連絡をする。怪我人は居るけれども、死者が居ないのは良い事だ。
「助けてくれて有難う、風雷暴さん!」
「風雷暴のハルカさん、ヒーローになる前に助けて貰った時からファンです!」
沢山の有難うに、覚え立ての笑顔で答える。有難う、を有難う。
私はこの場を協会の者に任せ、次の場所を知る為に手を広げて怪人を探す。遠すぎると曖昧だけれど、大体1つの地域くらいなら感知は出来る。
そうして怪人を見付けては倒し、積極的に討伐数とランキングを稼いだ。
それは良い事だと思っていた。