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風雷暴見聞録

第26章 24.


やかんに水を入れ、火に掛ける。今度は沢山入れたから良いだろう。残ったら料理にも使えるし。
丁度お茶も出ただろうから注ぎ、テーブルのキングに近い場所にどうぞ、と置いた。
当のキングは驚いた感じだ…

「あれ、本当にハルカ氏…だよね?」
『はい、そうだけど?』

なんだ、疑うように見てくるのは。偽物じゃなく私は本物だけど。
キングはあれ?とか違う?と小さく呟いている。それを見てサイタマが私をじーっと見てから、キングの方を見た。

「キング、そういうの失礼だろ。こいつは本物だけど」
「いや、いろいろとハルカ氏の特集っていうの見たんだけれどね。雑誌やネットでは笑顔が可愛いって言うんだけれど、ハルカ氏…」

少し困った表情のキングに「ひょっとして今、お腹痛いの?」と心配された。
少し沸騰が始まったやかんの音が支配する中、ジェノスが先生!とサイタマを手招きして更に空気が変わる。


「どうしたんだジェノス?」
「こいつの非公式ファンサイトが立ち上がってます!」

え、ええー…。
パソコンの前に私やフブキ、キングも集まる。5人でノートパソコンを覗く不思議な光景になってきた。

「うわ、まじかよ…俺のサイト未だに無いってのに…」
「ほらね、サイタマ氏。街中を歩く写真とか屋根から屋根へと飛び回る写真とかイラストとか小説まであったよ。夢小説なんて裏とかあったよ。激裏とか激しかったよ」
「何よ、その小説っていうのは?」
「あっ、…知らなくても良い事も、あるんだよ」

ゆめしょうせつ…?とは何だろう。何が激しいのだろう、爆笑だとかそんなんだろうか?
全く聞いた事のない単語だ、後で調べてみようか。
本人そっちのけで盛り上がっているので、覗き込む。

『ん?ちょっと待てなんだこの画像、』
「ジェノスそのサムネ、あっ…何で開いてんだよ!」
『なんでそんな変態じみたゾンビ野郎と変態じみた行為が絵に描かれてるんだ?ここまで私の胸は大きくない。それになんか犬まで紛れこん、』
「「「それ以上は(言うな)言っちゃ駄目!」」」

サイタマとジェノス、そしてフブキにそう叫ばれ、被害者である私は小さくなってはいと返事するしかなかった。
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