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風雷暴見聞録

第25章 23.


思い返すつもりが言葉に出ていた、自分に言い訳をするように過去言われた経歴と、努力をしたんだと言う事を伝えた。
驚いたような表情をするフブキ。

「……そうかしら?努力で出来るにも範囲があるわ。A級の貴女には優れた能力と運があった、そうじゃないの?」

優れた能力と運。果たしてそうだろうか?
今までを思い返せば悪運ばかりのような気がした。優れた能力?これは…不幸が不幸を呼んで、今はその力がようやく役に立っている。
彼女もまた、私が言われたように我慢や思いこみがあるのかもしれない…。
フブキは続けた。

「A級ランキング1位の男イケメン仮面アマイマスクは誰も超える事が出来ない。世の中には常識を越えた強さを持つバケモノが沢山居るわ。
B級のあなたも十分バケモノだけどイケメン仮面や私の姉程じゃない。S級にはバケモノ級のバケモノがうじゃうじゃ居る。私個人の力では上に行く事は難しいのよ…徒党を組んで何が悪いのよ」

サイタマは堂々と"帰宅部"というタイトルの漫画を見ている。
視線は話す相手には向けないままに。

「悪くねーよ、別に。でも俺はフブキの手下になるつもりはないぞ」

そのサイタマの言葉にフブキが何か言いかけたが、玄関の開閉音に気を取られて私は聞く事が出来なかった。

「お~いサイタマ氏!もしかして俺のゲーム持って帰ってない?」

誰だと思ったら、知らない人。厳つい雰囲気で片目に傷の男…だが、口調はとても怖そうには思えない。
サイタマはごめん持って帰った、と親しく…ちょっと気まずそうに話してる。やりとりを見るに友達関係なんだろうな、と思えた。

サイタマの友人はこちらに気付いたようだ。

「あれ、確かタツマキ氏の妹さんと最近メディアに騒がれてるハルカ氏だよね?サイタマ氏、家に上げてるけどひょっとして知り合いだったの?」

と風貌に似合わない穏やかな口調。
ポットを持ち上げるとまだお湯が入っている。この人にもお茶を出すか……
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