第25章 23.
「……私は、一番になれなかった」
フブキは語る。
才能を持っても、1番になる事が出来ない。その理由はフブキの姉であるタツマキの存在があるという事。
だから彼女はB級のトップになってから、B級以下を従え姉を超えたい、と。
聞きながら急須に茶葉を入れ、お湯を注ぐ。
「あのクソガk…
戦慄のタツマキはS級だろう。なぜA級を目指さない?タツマキ程じゃないにしろお前も強力な超能力者なら十分A級を狙えるハズだ」
確かに。
S級とB級では差が大きい。
どっちにしろ私はさっさとA級なんかオサラバしてS級に入らなくては。何故と言われたらはっきりとは言えないが、可能な限りは上を目指してみたい。
…のと、ゾンビマンのやつを追い抜いてみたいという目標だ。
私その会話を聞きながら、頃合いが良くなってきたお茶を注いで分けた。
フブキは顔色を変えずに言う。
「A級は無理よ。
A級上位に食い込む事は訳ない事だけど1位にはなれない。絶対に」
色々と諦めていた自分を思い出した。
そしてそんな私に掛けられた言葉も。
『"出来るか、じゃない。出来る、だ。……やりもしないのに無理とか言うな、出来るんだ"……か』
あいつのかつての言葉が今言われたような気がして、口に出してしまった。
そんな声を張った訳じゃない、けれどもこの場を静かにさせて注目を集めるには十分だったらしい。
『……あ、
えっと、私はつい最近とあるヒーローにそう言われたんだ。ヒーローになれと言われて自信が無い私にそう言って。
で、次の日がヒーロー認定試験でさ。
悪あがきかもしれない、合格する確率なんてたったの数時間の勉強で決まる。努力で変えられる。挑戦もしないで、諦めたら…可能性って言葉すら出てこない…、んじゃないかな?』