第24章 22.
ソニックが10人に分身する中、サイタマはぶれる程に分身していた。始めの動きからして、ヒーロー試験で私もやった反復飛びという種目の動き。
壁のように一列に並んだサイタマはそのままソニックを押すように真っ直ぐ進めば、分身のソニックは消えて残りが1体。本物が弾け飛んで地に伏っした。
あっというまに、訳の分からないうちにサイタマが勝ったようだ。
ピーーーッ!
煩い音が室内から聞こえてくる。どうやらお湯が沸いたようだ。
丁度決着まで見届けたし、さっさと部屋でくつろごう。
部屋に入り、やかんの火を止めてポットに移し替える。
玄関のドアが開く音がして、サイタマの声で「とりあえずうち上がれよ」と話し掛けてる声が聞こえる…。いつも居るからジェノスではなさそう…というと、ソニックは無いとしてあのフブキだろうか。踵の高めの靴の音がする。
いつもより足音が多めの玄関。お茶の準備をした方が良いのか?と追加でお湯を沸かす。
キッチンとリビングが空いている構造なので、リビングに来客が来たのが見えた。やはりフブキだ。
「ハルカ、お湯湧かしてんのか?気が利くなぁ」
追加分なので、直ぐにやかんが音を立て始める。それで気付いたのだと思うけれど。
『ん。さっき湧かしたんだけど足りなくなりそうだから追加分のね』
煩くなってきたやかんの火を止めポットに注ぐ。
サイタマはお茶頼むわ、と言って胡座をかき漫画を手に取った。
ジェノスが湯飲みやお茶をリビングに持っていったので、私はポットを持ってリビングに合流した。