第24章 22.
「答えろ」
いつの間にか寄りかかる私の隣に居て、首もとに武器を宛う。
『サイタマとジェノスは私がお世話になってる人だ。ちなみに私にはこういうのは止めたほうが良い、この状態でも攻撃出来るからな』
そう答えた。ふーんとも何も言わず、そのままソニックは武器を下ろし質問を続ける。だが、その手には武器がきっちり握られている。
「お前、以前道を俺に聞いたな。それ以前にも会っていないか?」
『はぁ?』
新手のナンパか。随分古くさいやつだな。
もうちょっと自然に誘えないのか、音速のソニック。そんなんじゃいつまでもナンパが成功しないぞ、音速のソニック。服を着たくらいでモテるとでも思っていたのか、音速のソニック。
服着た全裸が武器を片手にナンパすれば良いと思ってんじゃないだろうな、音速のソニック。
「……変な意味は含んでない。だが、俺は以前お前みたいなやつを見かけたような、」
『気のせい、気のせい、森の精』
どうせフラフラ旅をしている私でも見かけたんだろう。今は服を着ているが、服を着てても本当に変なやつだ。
ドアを開け(ゴッ!というソニックにちょっとぶつかった音が聞こえた気がした)さっさと部屋に入る。舌打ちが聞こえたが、丁寧に鍵もしめとこう。
外で再び爆発音が聞こえた。
近所に住む人は居ないとは言え、もう少し自重をして欲しいものだ。部屋にまで振動が来る。
手洗いを済まし、お茶でも飲めるようにお湯を沸かしながらやはり戦いも気になるな、と玄関のドアを少し開けて見物する事にした。外のソニックは移動して近くには居なかった。
ジェノスのスピードがとても速い。残像が少し見える程度だ。
玄関のドアの隙間から見える世界はとても目が奪われる光景。ジェノスがトドメを刺しに掛かると、ソニックは分身をする。2人から4人のソニックへ。
その4人のソニックは武器を構えてジェノスに向かうし、そのジェノスも立ち向か……おや、倒れた。俯せに。
サイタマが師匠っていうのは本当なんだな、と1人納得し(普段指導している姿を見た事がないが)、倒れたジェノスは再び立ち上がると脇に移動した。
聞こえてくる会話を所々拾えば、「お前しつこいからたまにはマジで相手してやる」と。サイタマが本気を出すらしい。