第22章 20.
安全装置を外し、構えてサボテンに向ける。
路上で倒れる人にはトゲが刺さっていた。片手の風で吹き飛ばす事が出来る。それに、サボテンの身体は水分で出来ている。良く電気が通るだろう。
銃を持った手に風神の力ではなく、雷神の力を圧縮させる。
『自己紹介した所でさよならの時間だ、さっさとくたばりな』
銃口からバリィッと音と共に閃光が放たれる。サボテンの体にぶち当たり、稲光が怪人を包む。
よろけた所で、生存確認ついでに両足に風穴を、そして脳天、胴体。ぴくりとも動きはしない。穴だらけのサボテンからは血混じりのサボテン汁が流れ出ていた。
きちんとトドメをさせたな、と銃をしまっていると、いつかの声が嬉しそうに笑い出す。
「ああ、貴女は前に助けてくれたハルカさん!」
振り返れば、前に助けたサラリーマン。
今回は失禁しなかったようだ。見たところ怪我もない。餌食になる前だったようだ。
武器はもうしまったし、協会に連絡する為携帯を…とポケットから取り出し、握りしめる。
『あの時の。とある知り合いがヒーロー協会に連れて行ってくれたんだ』
「見ましたよ、テレビに雑誌の特集!やはり私の目は狂ってなかった!ぐんぐんランキングも上がってますし、是非とも私の雑誌にも特集を組まなくては!」
雑誌…?
いつの間に雑誌に載ってたんだというのと、この男がジャーナリストである事を知る。
名刺を貰い、写真を数枚撮られ、あっというまに取材が終了した。
取材内容はヒーローになる前は何をしていたか、ヒーローになるきっかけは?あこがれのヒーローは?という感じだった。
そんな質問に私は風来坊に怪人を倒しながら旅をしていた、知り合いであるS級ヒーローに勧められたとだけ答える。あこがれのヒーローはの問いには分からない、とは答えたけれど。
嵐のように去りゆくジャーナリスト。唖然とする私の耳にうめき声が聞こえて、そういえば協会に連絡するの忘れていた、と携帯の存在を思い出して怪我人の救助要請と協会への連絡をして家へと向かった。