第21章 19.
一方、これからフブキが来るとも知らないサイタマとジェノスの居る部屋では、ジェノスが何かが接近している事を感知していた。
丁度この前、相手をしたロボットのパーツをクセーノ博士の所に持ち込み、自分のパーツとして取り付けて貰った。この近づき方は敵であろう。新しいパーツの性能テストに貢献してもらおうか。
ジェノスは辺りを見回す。
「出てこい」
そのかけ声で何者かが、空からダンッと降ってきた。
それはフブキ組の関係者ではなく、ただ1人の男だった。
ジェノスはサイタマの客かと初めのうちは思ったが、ソニックと会話するうちに感づいた。この男…サイタマ先生を付けねらうストーカーこと、自称音速のソニック(笑)だ、と。
ジェノスは最初に会った時は名前は知らなかった。が…、たまたまソニックが全裸で街に居たという事で印象が強く残っていた。変質者のカテゴリーで記憶していたのだ。
それで後日、買い物をサイタマとしていた時、ソニックに再び遭遇した。ジェノスは「(あ、あの時の全裸の男か…)」という感じではあったが、ソニックはサイタマの名前を叫んだ事から更に不審に思いサイタマに知り合いかと問うたのだ。
サイタマ自体は「パニックだかピクニックってやつ」、と曖昧な返事をしたのだが、本人が「音速のソニックだ!」と自己紹介をし、ようやくジェノスもこいつが自称音速の…ププッ!……と、知る事が出来たのだった。
……ちなみに早いもの勝ちの商品を取り合い、ソニックが床に顔拓の残したというのは3人だけの話。
「金魚の糞か。お前には用が無い。サイタマを出せ、ここに住んでいるという情報は掴んでいるぞ」
「(無視)先生に用事か…?フン、先生は忙しいんだ。お前の為に割く時間など無い。この前のように全裸で走り回って風邪引いて寝ていろ、そして自称している名前のように頭痛が痛いとでも魘されていろ」
天気は晴れ。だというのに、このサイボーグと忍者の間には雷鳴轟くような空気が漂っていた……。