第21章 19.
ゾンビマンからだ。
そういえば、前に朝来た時以来会っては居ない。連絡も今来たのが始めて。
携帯でヒーローランクが確認出来るとジェノスに教えて貰ったので、公式サイトを見てみる。
私のランクはA級16位だった。随分上がっていて驚く。登録時はそのランクの最下位からであったから随分と評価されているようだ。
確か、しばらく活動をしているとヒーローネームが付いてその名で呼ばれるらしい。
66号がゾンビマンという様に、私もそのうち何か名前を付けられるのだろうな。
サイタマみたいな、みたまんまだったらどうしようか。異議を唱える事は出来るのだろうか、などと考えながら、携帯画面の上部を見る。
『もうすぐ4時か、』
携帯をしまい、手を伸ばし集中する。
──ここより5時の方向、人々が逃げまどっている。丁度帰りの方角だしそれを片付けてから帰ろう、と私はビルの屋上から道路を挟んだ屋根へと飛び移った。
****
──その頃、ハルカ達の住むマンション付近では。
ザッ…
黒いドレスコートの女に、黒いスーツの男が2人。
女の名はフブキ。B級のトップに君臨する者。
男達の名は山猿とマツゲ。B級2位と3位に身を置く者達。
この3名はヒーローであるのだが、もしもこの者達を知らない人がみたらカタギではない、と言うだろう。
人の気配のない危険地区にフブキのヒールがカツカツと響いた。
「集まったわね。これよりターゲットのアジトに乗り込む」
フブキは腕を組み、男2人に目配せをした。
「相手が少しでも反抗的な態度を見せたら…わかってるわね?」
「二度と生意気な態度ができぬよう、身体に教えてやります!」
ヒーロー業界では、派閥というものが存在した。
己に自信があるものはそういった派閥に入らずに、単独で行動が出来て当たり前。だが、自信もなくパッとしない力量のものはどうすれば良いのか…?
答えは簡単だ。派閥のリーダーに付いていき、敵に数の暴力で勝つ。そして褒美を仲良く分ける。地位も安泰だ。
彼女、"地獄のフブキ"はその派閥の1つ、フブキ組のボスであった。
そのボスであるフブキが2人を連れてきたのには訳がある。それはB級に上がったというのに挨拶に来ないという、噂の新人。そいつを自分の組に加入させるという目的なのだ。