第20章 18.
「だが、気を抜きすぎるのも良くないな。ここの所毎日の様に怪人が出ている様だ」
テレビ画面に、今日の都市ごとの怪人発生件数が表示されている。Z市は他よりも群を抜く件数だ。
私自身特殊な体質故に戦えるのであって、最強という訳ではない。ヘマをすれば怪我をしてしまう。気を抜かない、それは今まで通りにしなくては。
『では、ほどほどに努力しておこ…、ほどほどに…努力する、よ?』
こんな感じだろうか?
サイタマはよし、と言って頷く。こんな感じで良いんだ…。私も釣られて頷いた。
ようやく全員食べ終わり、茶碗を重ね始める頃、食後のお茶を注ぐジェノス。
サイタマはゲームに取りかかり、私は食器を洗いにキッチンへと向かった。
今日、スポンジがとても安く手に入ったので、1つを持ってジェノスに問いかけてみる。
『スポンジ新しく下ろしても良い、かな?』
「いや、今あるやつで洗い、今回使い終わったら新しいのを下ろす。最後の除菌の手間が省けて良いだろう」
分かった、と返事をして直ぐにおろせる様に置いた。
話し方はこんな感じで良いのかな?と迷いはしたけれど、会話を重ねる内に慣れてきた。
…怪人の出没が毎日か。
怪人を駆除するのが、毎日出来るならそれはしたいものだ。いつかは出来る限りの本気でやり合ってみたい。そう思いながら、古くてヨレヨレのスポンジに洗剤を含ませ、洗い物を始めた。