第20章 18.
夕飯の支度をし、食事中にそれは起こった。
「ハルカ、醤油を取ってくれ」
夕方価格で易くなった鮭を食べる私にジェノスは言う。近くにあった醤油を取って渡した。
少し焼きすぎてしまった鮭。身が固くはなってしまったが、それは表面だけであって味は十分美味しい。油揚げの入ったみそ汁を飲もうと手を伸ばした時だった。
「あ、テレビにお前出てんぞ。今日のハイライトだってよ」
なんだ?とテレビの画面に視線をやると、少しぶれたカメラが着地した私を捉えていた。隅には一般人の投稿であることと、テロップにはZ市の新たな救世主と書かれている。
ああ、アレ撮られていたのか、とみそ汁を取って私は油揚げを拾い食いする(浮いている為に箸がとても扱いやすい)
更にテレビのテロップには、"期待の新人ヒーロー参上!"と表示されている。
……怪人の話のあと、私のセリフが聞こえると共にテロップまで表示された。"私はお前みたいな怪人を狩る者だよ"…と。
『ふぼっ!?』
「おいおい汚ぇな!…大丈夫か?水いる?」
咽ながら手で水を要らないと意思表示した。テレビの関係者は違う事を報道すれば良いものを、キラキラとした効果を付け、"新人ヒーローA級39位、ハルカ!"と要らんお世話をしてくる。
塩気のあるみそ汁が気管を去った辺りで咳き込むのを止める。咽すぎて少しばかり涙が出てしまった。
『チャンネル変えないか…?いや、ちょっと…流石に、な…?他にも活躍してるヒーローは居るだろ、なんで私なんかが…』
一瞬コチラをみたサイタマとジェノスはニヤッと笑った後無言でテレビに視線を戻した。チャンネルはそのままってか。さり気なくリモコンを手の届かない位置に置いている始末。
タマボールと名乗った怪人に画面の私はたまたまさんと言い放つとサイタマがブフォ!と吹き出した。ジェノスはそんなサイタマにティッシュ箱を持ってきてやっていた。地獄絵図とはこんな光景を言うのかもしれない。これは酷い。
「大丈夫ですか、先生!」
「鼻、鼻の奥に味噌っかす入ったかも……」