第17章 15.
「お前の武器はゾンビマンを吹っ飛ばした術だけではなく、銃もだったな」
興味を持ったのか、ジェノスが話し掛けてきた。
『ん?その様子じゃあゾンビマンに説明されてないようだな。
私はジーナス博士に風神・雷神といった力を入れられてね。武器で範囲を狭め圧縮したモノを放ってるんだ。コレ無しじゃ吹っ飛ばすのと感電させるくらいしか出来ないよ。もっとも雷神の力は手足の抑制ベルトを外さないと使い物にはならないけど…』
「成る程…」
使い物にならない、とはいっても風よりも雷のほうが得意ゆえに生活に支障が出ないようにベルトを付けている、が正しかった。日常的にコントロールして抑えるのが大変なのだ。動けば動くほど、栄養をつければ付けるほど貯まる。天気の悪いときには特に気をつけた。近くの木に雷を落とすなど、そんな事件もあった。
──まあ、すべての始まりは雷に撃たれたのがきっかけだったが。
ジェノスには風を吹かして情報収集も集中すれば出来る、とは言わなかった。言えば博士の位置など分かって今すぐにでも行けるだろう。でも、目的なんてない。
ところでジェノスやサイタマはどう戦うのだろうか?その内、彼らが戦う姿を見る事は出来るのだろうか?と、繋がりが生まれた故に次第に彼らへの興味が湧き始めていた。
分解し終えて、内部の掃除を始める。
そのうち実弾も使えるようにはしたいが、私自身は実弾入りの本物を撃った事がない。私自身の力を範囲を絞り込んで発射するもので痺れるような反動もない。ゾンビマンに頼めば貸して貰えるだろうか?
丁寧に掃除をしながらテレビのニュースを見る。なんかテレビ以外の電子音が聞こえると思ったら、サイタマが小型のゲームをやっていた(たまにミシッという音が聞こえる…)
サイタマから視線をテレビに戻す。男性のニュースキャスターが唸りながら美味しい!とデパートの試食を食べている番組だ……と、思ったら画面は変わり緊急速報!と真剣な表情でニュースを読み上げる女性ニュースキャスター。
「Z市街で災害レベル"虎"警報です。怪人が現れました!一般市民の方はくれぐれも怪人に近付かないように気を付けて避難して下さい!」