第17章 15.
ジェノスが私の前にどんぶりを置く。私の隣からは早速箸を付けるサイタマ。ズル、ズルルと音を立てて頬張った。
「ん、初めてにしては上出来なんじぇねーの?」
良く出来ました。そう言ってわしゃわしゃわしゃっと私の頭部を少し乱暴気味に撫でた。
一瞬何が起こったのか分からず固まる。視界の中、驚いた表情のジェノスの箸で挟んだうどんが、再びちゅるんと音を立ててどんぶりに帰っていった。
体温の去った頭部。触れられたそこを自分で触れてみる。自分と他人では感覚が違うな、と思ったのと同時にすこしくすぐったいような気持ちになった。
「おーいハルカ、早く食わねーとうどんのびちまうぞ?」
『ん?あ、ああ…うん、イタダキマス』
「箸をちゃんと使って食えていないと判断した場合、俺と先生が食わせる」
『鍋に続いて熱いヤツだろう、火傷するから遠慮する』
私も割り箸を割って、昼食を食べる事にした。
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食器を片付け、部屋の掃除を3時間ほどしていればそろそろ休憩でもしたら?と勧められ、休憩する事にした。
もちろん、忘れずに洗濯物はサイタマの部屋ではなくこっちの方に干してある。
私に宛われた部屋には塵は放って置かれた年月分溜まっている、が…小一時間ほどジェノスが手伝ってくれたおかげだろうか、部屋だけは仕上げに拭けばなんとか綺麗な程度になった。
換気のため、窓を全開にし、玄関も開けて自身の風神の力を弱め、窓辺に立って空気を取り入れる。玄関方向に風をそよそよと流して、あの白いホコリが漂う空間ではない事を確認した。
外で自分の服を叩いて埃を落とし、手を洗って再びサイタマとジェノスの部屋に入る。素直に休憩させて貰おうか。
机の上で相棒のメンテナンスをし始める。昨日は出来なかったし、今日はきちんとやっておこう。