第15章 13.
体が綺麗になったので、タオルで体を拭き着替えようと思ったらいつもの服は1枚も無く、いわゆるパーカーと真新しい下着(上下)があった。ちなみに武器はちゃんと残されている。
その時点で恐ろしいとは思ったが、下着は上下ともジャストフィットしていた。洗濯機が忙しなく動いているので多分洗濯されているんだろうが…私は確信をした。
『おい、変態』
「お、着替えたか。今日は服が乾くまでそれ着とけ」
いつの間にやらジェノスが料理を作っていて机に並べている。サイタマとゾンビマンはテレビを見ていた様だが、私が言葉を掛けるとゾンビマンは振り返った。
しかし、この変態、この部屋にかなり馴染んでいる。
『あんた、どこまで…、どこまで見てたんだ変態野郎。私はあんたの趣味を着たい訳じゃないが、仕方がないから着てやったんだ。仕方ないから…!』
「ほお、用意した甲斐があったな。ぴったりか?」
『ぐっ、…服の件で許す事は無いが、今日掃除を手伝っていけよ。あんたの重みでドア外れたし』
「まあ手伝ってやりたいのは山々なんだが、予定があるんでな、」
今日は無理だ、とゾンビマンが言った。ちゃっかりテーブルには4人分の朝食が並んでいる。とは言ってもサイタマとジェノスと私の所にはご飯が、ゾンビマンの所には昨日持ってきたバナナ。
それでも構わないのか、文句も言わずに食べている。地産地消(作ってはいないけれど)ざまあという気持ちと共に少し可哀想とも思ったが…。
「ジーナス博士の居場所がかなり絞れたんでな。お前も来るか?」
「(ジーナス博士…?)先生、もしかして…」
ジェノスが何か言いかけたが、サイタマはとりあえず飯だ飯、とかっ込む。
私はジーナス博士に会いたいのだろうか?博士をどう思っているのだろうか?憎んでいるのか?殺したいと思っているのか?迷子が家族に再会した時のように抱きしめて欲しいのだろうか?そもそも、養子として扱ってくれるのか?まだ実験材料として見られるんだろうか?
──いや、今の私には、博士に何も感じない。考えるな。博士にはただ、めんどくさい能力を押し付けられたのと、哀しい過去を与えられただけだ。