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風雷暴見聞録

第15章 13.


この家(…部屋?)の主であるサイタマはパジャマのままで、ジェノスもサイタマの傍に居る。
じゃあ私が出ろという事か、と玄関のドアをそっと開けた。
そこには昨日ぶりに会う、朝から不健康そうな男が紙袋やらを持って立っていた。

「……よう、ハルカ。無事着いたようだな」
『あんたか。もしかしてとは思うが、サイタマやジェノスに何か言ったか?』

例えば、体の肉付き加減だとか。そう付け足すとゾンビマンは私から視線を逸らした。
そして何かを察したのか、ドアを大きく開けると荷物を部屋に投げ込んだ。紙袋はガサ、と言って横に倒れる。

「ああ、ちゃんとした人生歩めるようにとな。その、あばらとか…は、ハルカは美味いモンロクに食ってねぇだろ?」
『ん?状況確認で見ちまったって言う割によく見てんなぁ?』

じわりじわり近付けば、じわりじわりと逃げていく。
私は両腕のベルトを無言で外し、足下のベルトを外す作業に取りかかる。
コイツはもう一回殺さないと気が済まない。いや、バナナをしつこく推してくる件もあった、2回殺そう、そうしよう。どうせ死なないんだしな。
私がベルトで電気を押さえ込んでいると知っているゾンビマンはますます焦りだしたようで、私から少しずつ距離を取り始めた。2日前から良い食事と睡眠にありつけている為か、雷神の力は準備万端と言わんばかりに、私の体表を青白くパチパチッと走る。


「待て!お前それ本気だろ!?俺が死なないのを分かってて本気でぶつけて来るだろ!?」
『ああ、分かってるようだな。とりあえず2回ほど死んで貰おうか』

玄関から出る。ゾンビマンは私に殺された経験があるため玄関から後退し、通路に出た。
ベルトで普段は抑制されてた雷神の力が空気をビリビリと言わせ、私の髪の一部が静電気で浮き上がる。
右手に電気を集中させ、指を鳴らした刹那。バリィ!という炸裂音、青い稲光と共にゾンビマンが雑に吹っ飛んでいった。
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