第14章 12.
何も?と聞き返され、今まで何を食ってたんだという心の声が聞こえてきそうな気がした。
『物の修理で稼いだ小金で調理された物や、食材そのものを食べてきた。野菜、果物、豆類。あと、森の中の食べられる野草や木の実やきのこ、』
「もういい…」
呆れたような哀れむようなジェノス。仕方ないだろう、そういう生き方をしていたのだから。
「きちんとした栄養を摂らないと大変な事になるぞ。体が資本だ、体調管理はきちんとしろ。今は体調に変化は無くともあばらが見えるような体型では、」
『ん、ジェノスなんで私の体を知ってるんだ?さては風呂の時に覗いたのか?衣服を脱ぐ時、羽織る時、それとも入浴時に覗、』
「いや違う!覗きなどそんな卑劣な事などするか!」
声を上げて反論するジェノス。その声でなのか、丁度良い頃合いだったのかサイタマのいびきは止まり、上半身を起こしたようだ。
ジェノスがサイタマの元に謝罪しながら駆け寄るが、私はまだ何故知っているのか答えて貰っていないんだが?
「朝から喧嘩すんなよな、お前ら」
『いや、喧嘩はしていない。私は何故"その事"を知っているんだと問いかけただけだ』
「覗いたのか変態とまで罵ったのはどこの誰だ」
『変態までは言ってない』
「変態と言わんばかりに表現していた」
お前等ちょっと黙れとサイタマが壁を殴った。穴は開かなかったが、部屋全体がみしりといって揺れる。
流石にそれを見て、互いに見合い黙る私とジェノス。サイタマが、ジェノスを向く。
「で、その事ってどの事だ?」
質問を投げたその時だった。
──コンコン。
玄関のドアを誰かがノックしたようだ。
声も聞こえないのに、ジェノスはこう言う。
「お前が質問する相手が来たようだぞ」