第13章 11.
「ここが俺んち、隣がお前の住むとこな」
ガチャ、と私の家と言われた方を開けると、家具もなにも無い部屋にクシャミの出そうな空気。
部屋の中が白っぽく見えるのはホコリが浮いているからか。
「俺んちの隣は腐界だったのか……!?おーいジェノスー居るかー?」
私の家に呼びかけるサイタマ。しかし返事が返ってきたのは私達の後ろからだった。
「はい、俺はここに居ますが」
「おわぁ、びっくりした!」
サイタマは凄まじい勢いで振り返る。
私は部屋に入る前にもう1人の者に挨拶をしておかなくては、と思い目の前の部屋にはまだ入らない事にした。
ジェノスと呼ばれる青年は、顔の部分は肌色、だが首から下の部分は人とは違う物だった。腕はゴツゴツとした機械そのもので…確かこういったものをサイボーグと言ったか。
その瞳の虹彩は月のような金色、本来白い白目部分は黒く。サイタマと話す為に向けられていた視線はやがて私へと向けられた。
「お前がハルカか?」
サイタマと話す時の口調とは明らかに違う。いや、サイタマを先生と呼んでいた…サイタマはパッと見やる気の無さそうな男だが、何か秀でている面があるのだろう。
『ああ、私がハルカだ。あんたもヒーローか?』
「おい、ちょっと待てよハルカ。俺ん時は怪人と間違えたよな?卵とか電球とか言ったよな?ハゲ怪人とかもろに言ったよな?なんでジェノスの時は間違わねーの?」
「お前、先生の頭部の装甲についてのコメントをしたのか…!?」
「いや、お前もここに来た時から今の発言含めてしょっちゅう言ってるからな?」
「『…』」
「なんでそこ黙んの?」