第11章 9.
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──ほぼ同時刻、Z市。
「はぁ?今日から俺んちの隣に引っ越してくる?」
家でのんびりとゲームする俺と、正座をして俺を観察するジェノス。
そんな家に突然の訪問者が来た。血色の悪い肌に黒い短髪。瞳は血の様に赤く、コートはボロボロ…あ、血が付いてるがこいつ自身怪我してないみたいだし返り血か?
この顔どっかで見たな…確かヒーローの1人だった気がする。名前、なんだっけ?
「ああ、普通を知らないやつでな。A級ヒーローになったのは良いが、きちんとした家がねぇ。連絡する宛もないと困るだろ?だからお前ん所に頼みに来たんだ。地図渡したからそろそろこちらに向かい始めてるだろうよ」
「急すぎねぇか?てかお前誰だよ」
「依頼のついでにな。連絡を入れる前に支給品の携帯は破壊されたんでな…、その点はすまない。それから俺はゾンビマンだ」
え?なんで俺?というかZ市のこの辺っていうと普通住みたがらないんだけど。普通を知らねぇってやつがここに住むのか?
玄関で固まる俺。先生!と後ろからジェノスが走り寄ってくる。
「おいお前、もしかして新人のヒーローというと…このハルカという者か?」
「お、情報早えーなオイ、」
ゾンビマンはジェノスが持ってきたノートパソコンを覗き込む。
ああ、ゾンビマンってジェノスと同じS級のヒーローだったっけか。そういえば、ヒーローチップスのおまけに出てきたやつだ。俺も2人の覗き込むパソコンの画面を後ろから覗いた。
A級ヒーロー、ハルカ。順位は今日成り立てだからか39位。他の色が交じる事の無い白髪に凛とした顔。顔服装や出る所を見るに何処からどう見ても女だった。
「おいおいゾンビマンさんよー、こういうお隣に女の子が引っ越してくるとかそういった月9とかギャルゲーとかそんなのは俺は求めてねぇんだけど。そういうのはキングの隣にフラグ立ててやってくれる?あいつ喜ぶから」
「(なんでそこで人類最強のキングが出るんだ?)」
ゾンビマンは少し顔をしかめる。俺の発言に便乗するように、ジェノスもコンボを決めてきた。
「そう言う事だ、先生は忙しいんだ。大体ヒーローだとは言え、女性がこの地区に住むのは良くないな。ここは危険地区、人類に見捨てられた場所とも言われているんだぞ?」