第11章 9.
「ハルカ様!」
『ん?』
セミナーも終わり、受付付近にいるハズのゾンビマンが居ない。見慣れたコート姿を探すも、全裸姿を探すも居なかった。
そんな私を見てか、受付嬢が私の名を呼んだから驚きだ。
『私に何か用か?』
受付嬢ははい!と返事をして、何かガサガサと音を立てながら私の元に走り寄ってくる。
「こちらゾンビマン様よりお預かりしております。そしてこちらも…」
ビニール袋と、便せんを畳んだ物。
有難う、と受け取りその場で便せんを開いて読んだ。
《ハルカ。まずは合格おめでとうな。A級に受かったとはいえ、最初は最下位からの道のりだが、お前なら直ぐS級に来れるだろ。期待してるぜ。
結果を急ぎで聞いたのは良いが、用事が出来た。ついでその用事を済ませた後にお前がこれから世話になる所の隣人に色々説明しなくちゃならないから、地図付けておくぜ。お前に何かあったら隣の住民が力になってくれるはずだ。何せS級とB級の同業者が住んでるんだからな。
ゾンビマン》
丁寧にここF市からZ市までの地図が添えられている。私もZ市に行った事はある…が、いくらなんでもこの時間から向かうとなると、キツい。電車で近くまで行けとか言うが、あの乗り心地や人混みは好きじゃない。徒歩で向かい、人の目に付かない所で忌まわしい力で一気に飛べば良いか。
私は紙を上着にしまい、受付嬢にどうも、と挨拶をしてから目的地に進む事にした。