第10章 8.
筆記テストを終え、動きやすいように上着だけを脱いで体力テストを受けた(どうせ周りも似たような薄着だから良いだろう)体力テストという割になんだかやっていて楽しかった。それに特殊能力を持つ人も居たので隠すこと無く実力を発揮できたんじゃないかなとは思う。要するに、しっかりとやってのけた。
上着を羽織り、小一時間ほど待たされてから結果の書かれた紙を受け取った。
『筆記48点、体力43点…A級?』
一発合格。まあ…合格したのは良いが、S級には至らなかったようだ。もう少し頑張れば満点だったのは少し残念である。
紙を丸めて手に持ち、更衣室を出た所で私を含む数人が放送で呼び出された。どうやら合格者セミナーがあるらしい。
呼び出しの指定された場所、第三ホールに着き、席へと座る。私以外の者も3人ほど居て、1人は筋肉の盛り上がる男、1人は奇妙な格好をした…がスタイルの良い女性、もう1人はなんだか分からんコスチュームをした男だ。
私がこう思っているようにあちらの3人も私を変なやつとでも思ってるかも知れない(髪色とか)、そう思っているともう1人男が入室してきた。私達の座る席ではなく、一番前の机の前に立ったので講師かなにかだろうか?それにしても目つきが鋭い。
「まずは合格おめでとう!」
黒板に災害レベルの説明、ヒーローランク等を書き説明をし始める。
この辺はゾンビマンに説明を受けたな。説明しながら、この男の正体が分かる。A級のスネックという男らしい。スネークと掛けているのか、そういえば服が蛇を思わせるような柄だ。
「君達の顔はヒーロー協会の公式ホームページに公開される事になる!節度のあるヒーロー…そう、」
タンッと飛び上がり、机の上でなにか威嚇のようなポーズを取り始めた。
「俺のような立派なヒーローを目指せ!」
『はぁ』
自分のヒーローランクはA級39位だった。このスネックという者は自分より一つ上のランクか。ならば、怪人を数体駆除すれば簡単に追い抜く事が出来るだろう。
少しクセの付いた、結果が書かれた紙を机の上に置き、窓の外を見た。空は青から橙に変わり始めた頃。ゾンビマンがしばらく身を置ける場所へ連れて行くと言っていたし、受付の所で待ってくれているだろう。
しんとしたホール内、私以外のものが小さくため息を吐いてスネックは机から降り、以上だ!とセミナーを終わらせた。