第8章 6.
『今まで着てた服を全てぶち込んできた。だからじろじろ見るな、変態野郎。風穴を開けてやろうか?』
「……お前なぁ、それ俺に言うかぁ?……チッ」
思わず火を付ける前の煙草を落としちまった。今まで着てた服って事は今着ている浴衣の中身は全裸か!?普通、そういう事男と二人きりの時に言うか!とも思ったが普通じゃないのは分かっている。もうちょっと危機管理をして貰いたいもんだ。異性であり、同室で寝るってのにそんな暴露をされたらたまったもんじゃない。意識したくないと思ってもつい下心があるってのが男ってもんで。
凝視はバレるだろうし、3秒くらい見た。私服より良く体にフィットしていて、どの辺が膨らみの頂の部分かとか浴衣の生地の薄さで想像出来た気がする。
ハルカを見るのを止め直ぐに灰皿の底を凝視する事に専念していると。
『ひとつ、良い事を教えてやろう』
顔を上げると、テレビに向けられていた視線はこちらに向けられ、冷めた視線で俺を睨み付けている。まさかとは思うが人の心を読んだり出来ねぇよな?
内心焦りながらも煙草に火を付け、なんだ?と話を聞いた。
『風来坊に各地を歩いていれば、変態ってのが寄ってくるもんだ。私も何度も遭遇している。
…で、遭遇した時の対処方はどうすれば良いか?私は男では無いから"その部位"は付いてないから痛みを知る事は出来ないが……知りたいか?』
「いや、いい。遠慮する。同じ男としてそれは聞きたくねぇ…」
あんなに可愛らしかった女の子とやらが今じゃこんなにも逞しく育ちやがって。
夕飯は6時と聞いてたし、それまで少し勉強させるか、と一服して灰皿に煙草を置いた。
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