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風雷暴見聞録

第99章 97.(童帝とパフェ/ほのぼの)


筒状の伝票ケースから、注文票が重なっているのが分かる。これで軽くなのか、とその体のどこに高カロリーがどこに消えていくのかが謎。
更に家に帰って食べるなんて。お腹がもたれるんじゃない?

「家に帰ってって…ゾンビマンさんと?」
『いや、別に、一緒に住んでるわけじゃ……』
「えっ!?同棲してるんじゃなかったの?」

驚いた、あまりにも頻繁に一緒に居たから、とても仲睦まじいカップルに見えていた。
あのゾンビマンさんが選んだ人だ、きっとしっかりとしているからもうすでに一緒に住んで、籍を入れるのも秒読みかと思っていたのに。

目の前のハルカさんは戦う時とはまた違った、恋する女性らしく顔を僅かに赤くしてブンブンと手を振っている。これがギャップってやつなんだろうな、こういうタイプがゾンビマンさん好きなんだろうな、とかつてゾンビマンさんの隣を歩いていた女性達と頭の中で比較する。

『別に、今は同棲なんて……してないし、まだそういうのは…』
「でもいつかは一つ屋根の下に住むんでしょ?」

目の前で、チョコがけの斜めに切られたバナナを口に投げ込んで黙る。咀嚼して誤魔化してるのかもしれないけれど、耳の赤さで一目瞭然だった。
ゾンビマンさんは初めてファミレスにハルカさんを連れてきた時、かなり夢中だったみたいだけれど、ハルカさんの方もかなりゾンビマンさんに夢中みたいだ。
大人たちの相思相愛の恋愛模様って微笑ましいなぁ、とバニラアイスがソーダに浸かって、独特な風味に変化した泡をスプーンで掬って舐める。
丁度、パフェも運ばれてきて、店員さんも戻っていく。
ハルカさんは窓の外を眺めて、もぐもぐと咀嚼をしていた。

『……いつかは、ね。だって一緒に住むって事って、そういう事でしょ?』
「うーん、恋人同士なら、よく知り合ってたら同棲はするんじゃないの?後は結婚とか…その他は僕子供だから知らないや」

いくつか細かく来られた苺とクリームを掬って食べる。とても甘くて学校帰りの脳に染み渡る。
目の前ではポリポリと言う音が頬から聞こえる、コーンフレークの部分を食べているんだろうな。

「嫌いじゃないんでしょ?ゾンビマンさんの事」
『えっ』

ピタッと動きを止めて、驚いた。
周りをキョロキョロと見て、少し身を屈め、反対側の椅子に座る僕に聞こえるように声を小さくした。
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