第99章 97.(童帝とパフェ/ほのぼの)
学校が終わった僕は塾までの時間、フリーだった。
朝から午後3時までを勉強に使い、夕方からは塾だ。本当ならば学校が終わってすぐ塾に行けば良いけれども、時折リフレッシュしたり、糖分の摂取をするのも良い。
特製のランドセルを背負い、今日のおやつはどこで食べようか、と街中を歩いていた。
ハンバーガー…、うーん、今はしょっぱいのとかシェイクって感じじゃない。クレープ、ああいいね、けど気分の問題かな。
あー、ファミレス。良いね、ファミレスにしようか。こっちは前に来たことがあったなぁ、じゃあ、逆に喫茶店とかどうだろう、そういった所のほうがゆっくり出来てしかも美味しいメニューが埋もれてたりするもんだよね!
人気のレストランを通り過ぎて、落ち着いた雰囲気の喫茶店にと入店する。見上げると店員のお姉さんが挨拶をした。
「いらっしゃいませー!あっ、待ち合わせ…でしたか?」
待ち合わせ…?という言葉に、あまり人の入っていない店内をつま先立ちで見渡す。
すると見たことのある頭が見えて、店員のお姉さんに、その方向に指を差した。店員さんは一度お辞儀をして、仕事に戻っていく。
テーブル席にいる、とある1人のヒーローの元に駆け寄った。
「こんにちは、風雷暴のハルカさん」
僕に気が付かなかったのか、ちょうどパフェを口いっぱいに頬張っていたハルカさんはハムスターのように顔を膨らませ、少しおろおろとしていた。
「あはは、良いよ、ゆっくり食べててよ」
メニュー表はテーブルの端にあった、けれど僕はハルカさんの食べっぷりが良かったので、やってきた店員さんに同じものと、クリームソーダを頼んだ。
ハムスターのような頬が少しずつ小さくなっていく。目の前の女性は手の甲で口元を拭って、汚れていないかを確認した。
『……こんにちは、童帝くん。学校、終わって寄り道?』
「うん。何か食べたいなーって思ってたまたま入ったんだけど、奇遇だね。相席でも良いかな?」
『どうぞどうぞ』
もりもりと食べている様子をじっと見ていると、クリームソーダーが運ばれてくる。パフェはもう少しだけ時間が掛かりそうだ。
「今日はゾンビマンさんと一緒じゃないの?」
『いつも一緒に居るわけじゃないよ?今日は私ひとり、ここで軽く食べてから家に帰ってご飯を作ります』