第97章 95.(フブキとタツマキと買い物する話)
フブキはもう一度コーヒーを飲み、カップを大きく傾けた。どうやら空になったらしい。
私もアイスティーを3口飲んだ。すっきりとしている。
コーヒーの香りが強くした、フブキがため息を吐いたからか。
「あなた自身、買ったことがなかったのね?」
『うーん、おばさんに貰ったのはいまいちだけど着けてて、ゾンビマンからのはしばらくはサイズピッタリだったんだよ』
首をかしげるフブキに、多分あの件だろう、と付け足すことにする。
『川で水浴びしてる時に全裸を見られたから把握されたんだと思うんだけど』
「ちょっと、更に頭がついていけないわ……まあ、まあいい。じゃあさっさと服買いに行くわよ!」
会計は私持ちでカフェを出た。
カツカツとヒールを鳴らすフブキ。その隣を歩いていると、銀行で起こったことを知っている人が居たらしい、ヒソヒソと"銀行"、"風雷暴のハルカ"、"限度額"といった単語が聞こえフブキは口元に手を当てていた。
「あ、あなたもう、本当に気を付けなさいよね…S級ともなれば視線は常にあると思いなさい…!」
『しょうがないじゃない、制御はできるけど驚いて放電しちゃったんだから』
「もうっ!…この店舗入るわよっ!」
カフェのある通りから5分以上は歩いただろうか?服専門店にまず入る。
そこには見知った先客が居た。緑のクルンとした、小柄な人だ。
「あら?フブキ。と、雷の人じゃない。何あなた達遊ぶ約束でもしてたのかしら?」
戦慄のタツマキ。
ロングスカートをふよふよと浮きながら品定めをしている。
「おねえちゃん…なんでここに…」
『先日は、どうもありがとうございました』
ぺこりとお時期をした私に、フブキは空間を指差した。
「…ハルカ、下着コーナーはあっちよ、行ってなさい」
『だからサイズがわかんないんだけど…』
フブキとタツマキの微妙な空気。
あっちに行って、と言われても服屋であるしまうまでサイズ表記が多く、自身に合うのが分からない。かといって店員に聞くのは、今の銀行の出来事があって躊躇している。
頼れるのはフブキしか居なかった。
手を合わし、頭を下げる。すると、フブキがため息をつき、キョロキョロと見回して別の場所を指した。