第97章 95.(フブキとタツマキと買い物する話)
「あの、ブランドにこだわるのでしたら100万でも構わないですが、服くらいなら安くても1万で十分お釣りきますし、そこそこの買い物でもそこに数万で大丈夫だと思います…」
「…だそうです、ね…ンフフフ、クッ」
女性に便乗する銀行員。穴があったら入りたい。
『…機械の、弁償します…』
「だ、大丈夫…です、クフッ、よ…フフ!このっ程度…」
『すみません、本当ご迷惑掛けて…本当…』
そういうわけで念には念をいれ、15万ほどを手元に、残りを窓口経由でヒィヒィ笑う女性の所で預けてきた。死にたい。
その話をしているとフブキは腹を抱えて笑った。
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「…で、私に相談っていうのは買い物の相談という事で良かったのかしら?」
『うん、今まできちんとした…その、おめかしした服ってなかったから…』
「あら?デートに着てく服ね?」
コーヒーを飲み、ソーサーにカップを置く。カチャン、と音が鳴る。
その動作を見届け、ひとつ頷いた。
『あと、下着とか…』
「あら?勝負用?」
『勝負用?戦う物があるの?今まで着ていたものは一体何下着…?』
私の知らない知識だ。フブキはバツが悪い、と顔に出ていて首を振った。
「そもそも今までどんな服買ってたのよ、15万とかブランドじゃない。あなた、というよりもゾンビマン自体の趣味ってわけじゃないし…」
私の頭から胸元まで(テーブルで上半身しか見えないし)を見て、品定めをしている。
ブランドって言いましても。
『ん、風来坊してた時は服屋…しまうまとかで、100円前後のパンツとかを買ってたけど』
「100円!?」
『怪人から助けた代わりにお世話になったおばさんから、下乳あたりにゴムの入った下着とか貰ったり、ゾンビマンに3着、ヒーローになりたての時に買ったものを押し付けられたっていうか…』
「ちょっと待って、いろいろと追いつかないわ…整理させて…」