第97章 95.(フブキとタツマキと買い物する話)
「オイラは怪人メモリーマン!ありとあらゆる情報を盗み取って情報漏えいさせてやる!」
『お、基盤丸出し結構。とっととくたばれ』
「ンギャアアン!」
風神騒動も終わり、博士の元に風神を連れて帰ってから3日。怪人を探し、出会い頭で相性が大変良く、電気をバリッと流しただけで逝ってしまわれた。
屋根からの移動、からの着地、からの一撃。1分も掛かってないだろう、速さで終わってしまった。協会に電話を入れてふと、携帯の電話帳を眺める。
体が少しきつい。上半身を少し捻じりフブキの番号に掛けた。
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カッカッカ。ヒールの音が街中に敷かれた石畳を鳴らす。
ベンチに座る私の前にとまり、見上げてフブキが来たことを確認すると私は立ち上がった。
「相談って聞いたんだけど何かしら?」
少ししぼんだ表情だっただろう、私は。相談自体は深刻ではない、むしろ些細な事だった。待っている間に起こった事が私の今の状態を引き起こしていた。
「…よほどの事ね、ここじゃ話しにくいでしょう?近くのカフェにでも行きましょう」
『…はい』
ベンチの近くにはカフェが並ぶ。数歩。本当に数歩のカフェに2人で入った。
外はガラス張り、店内はオレンジ色のライトで照らされ、たくさんの観葉植物が飾られていた。コーヒーの香りが漂い、あちこちで楽しげな談話、また私達に気がついた人がヒソヒソと目を輝かせて話し合っている。
割と隅の方、人が居ない席に座る。
フブキはコーヒーを、私はアイスティーを頼んだ。
「…フブキ組に入る話、決めてくれた?」
『その話関係では、ないんです…』
「そ、そう…(随分としょんぼりしてるわね)」
頼んだものがやってくる。これで店員もそう来ないだろう。少しアイスティーを飲んでから、私は話しだした。フブキが来るまでのことを。
──銀行内。
買い物をするために、ATMに来ていた。5台機械があり、私はそれらに対面するのに並んでいた。
あのしばらくぶりの金額がどうなっていることやら。銀行の自動ドアを通り過ぎた私は生唾を飲んでその時から緊張していた。