第88章 85.
「彼女は既に亡くなっている。昨日、息を引き取った」
身なりが良く、雰囲気が上層部と思われる男性がそう言った。
『何故、私を呼んだのでしょうか?』
死体を見せる為?それとも何か別の意味で?
嫌な事を想像はしていたけれど、それは杞憂に終わる。
「一応、貴女はクローンだという事で、彼女もまた君だったかもしれない者。遺体を引き取るかを聞きたくてね」
これは例外中の例外ですけれどね、と男は座ったまま動かない風神を見て言った。
『要するに、風神の亡骸を持ち帰って墓を建てても良い、と?』
小さく男は小さくフフッ、と笑い声を立てる。
カサ、という紙の音。折り畳まれた紙を渡され、私は薄暗いその空間で紙を広げた。
「オリジナルとクローン。そんな事を思わせないような……どう受け取るかは貴女次第でしょう。
ここには書いてはありませんが…風神から有力な情報を得たお陰で、怪人が我々のように協会を作っているという事が分かりました。童帝に怪人協会について今、調べて貰っているが…サイコスという者はそこのリーダーの様だ」
風神との戦い、ご苦労様です。
労いの言葉と、遺体は骨にしておきますか?と作業的な言葉。
いえ結構です、と返した私も作業的な言葉を放っている、夢を壊すようなヒーローだ。
紙に書いてある文字を見て、自分なりに考えてみる。