第88章 85.
──あれから数日後。
テレビではF市での戦う映像が流れたり、新聞でも大きく取り上げられた。といってもゼニールの所有するビルはとても高く、ズームしてやっと映るくらいの映像。全裸姿なゾンビマンは映ってはいなかったけど、上半身は映っていた。下半身が出てたらまあ…掲載されないと思うけど。
風神や天空族の件で飛ぶ事が出来なかったヘリコプターも旅客機も事件の無かった時ほどに飛ぶ様になった。つまりは、世間での空の件は解決したという事だ。
私はS級の最下位から1つランクを上げ、18位の座をプリズナーに、そして私はS級17位となったらしい。
一つ上がジェノス。ジェノスに『私が何体か怪人倒したらジェノス抜いちゃうね』と言ったら、ジェノスは「俺は16位に留まるつもりはない。目標はS級10位以内だ」と洗って立て掛けた皿に風を送りながら、サイタマを見つめて言った。
そういえば…ジェノスが10位以内に入る事が次のステップに行く方法だとか言ってたな。サイタマって師匠って感じがしないけれど、ジェノスといい感じにコンビを組んでるのが不思議だ。私が知らない所で、どんな修行をしてるのか見てみたい。
そんな私の目標は8位以上に上がる事であって、たった一つ順位を上げた事でも嬉しい。
少しだけ彼のヒーローにはなれたかも知れないけれど、私がして貰ったヒーローとしての彼までが遠い。それでも私は、一般人に有難うという感謝の言葉を掛けて貰えるのだから、彼らのヒーローにはなれているみたいだ。
さて、私は今何処にいるのかというと、ヒーロー協会の本部に向かっている所。
1人、風神の力で駆け抜けていくのは、風神に出会うまでの私と変わらない。道路を走った時よりも早く着く事が出来そうだ。
何の用事だろうか、と良いニュースでは無いだろう呼び出しに本部内に入るとこちらです、とすぐに案内をされた。
向かった先、何席もある椅子。横に長いガラス越しには、広い空間にぽつんと椅子があり、その椅子には先客が座っている。見た事のある、より爛れている風神。手当てをされたのか、上半身に包帯を巻いていた。
監視、もしくは尋問でもしていたという雰囲気が伺える。