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風雷暴見聞録

第85章 83.


上半身を起こし、混乱の為頭を抱えてどうしてこうなったかを脳内で展開する。
そんな私を心配してか、それとも終わった事だというのか。背に温かい掌が触れた。

「──なんて、冗談だ、はっはっは。安心しろ、お前にまだ、手を出してはいねぇから」

手を、出していない…?
いや、でもこの状況は事後だろ。どう考えてもそうだろうに。考えない方がおかしいって。
頭を抱えるのを止め、掛け布団で胸元を隠した。

『確か…確かあんたは全裸だったのは分かる。でも、私は服を着てた。なんで全裸なの?ちょっと良く分からない。寝ぼけて裸になったとは考えらんないから』

隣の全裸男も上半身を起こしたので、迫るように追求する。
完全にこの光景は事後だった。
すると面倒臭そうに私が喋っている時からはいはい、と宥めるように落ち着かせてきた。いや、落ち着かないわ!

「説明してやる。あの後、倒れたお前をタクシーに乗ってここまで運んだ。いいな?
…で、俺は服ねぇし、このまま。お前は雨に濡れて風邪でも引いちまったらヤバイ。だから脱がせてタオルで拭いた。分かるか?

そんでよ…俺も運動やら再生やらで疲れてたわけだ。床で寝るのは嫌だ。だからお前の布団に潜った」

ああ、もう…もう!
それとなく分かった気がするけれど、とりあえず『服着ろ、着せろ!』と隣の男に叫んで私は眉間を押さえた。
確かに店に全裸で入るのは駄目だろうし、私の部屋に一着くらい置いておくべきだろうか?

そう考える私に不幸の女神は追い打ちを掛ける。
ガチャ、という音がして私の肝が浮いた気がした。その音が聞こえた方向に視線をやれば……

「……勝利の祭ってかァ!?お祭り騒ぎに邪魔して悪かった!今度から鍵掛けておけよな、じゃ、差し入れここに置いておくから」
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