• テキストサイズ

風雷暴見聞録

第83章 81.


風は勢いが強く良く、上空へと吹き上げる。時折ガラスの破片が皮膚を掠めて鋭い痛みを感じた。けど、このまま引き下がるわけには行かない。

ゴマ粒ほどの人物が見える。
そろそろ良いか、と竜巻から脱出して風神の力でなんとか空中で留まる。あまり得意ではないから、早く済ませなくては…!

脇差をこの辺だったか、と落とす。
そして上空に手を伸ばしもう片方の手は銃。銃を持つ手に既に電気は走らせてある。

天に向けたその手から導く様に稲妻を放つ。それが銃のトリガーの様に、私は青白い光を見た。

『終わりだ、風神』

誰も居ない空中で、ひとり風神へと言葉を送った。
バリィ、と銃から下に向けてプラズマ弾を撃ち込む。その時、待っていたかのように空気を切り裂くような雷鳴が響いた。
上空の自然エネルギーである雷は、私から銃口、プラズマ弾、そして落下最中の脇差へと繋がっていく。青白い龍が天から獲物めがけて疾走る。

そこには私の体が接している。銃口は白いローブのアイツを指し、私の意志も風神を狙っていた。
上から見るその景色はまるで、ハヤブサが小鼠を見付けて急降下する如く、確実に仕留めてた。

──終わった。

耐性を持つとはいえ、雷を操作している間は体力を食うのだと落ちながら知る。それだけじゃない、風神の力でなんとか空中に留まり続けたというのもある。
せめて、せめて直前まで体力を温存しておこう。非常に重くだるい体。雷の中に居たっていうのは眩しいくらいで痺れも熱も感じなかった。間違った方向に力を使っていたならばまさに私が怪人だ。

竜巻は扱う者も居なくなり、よろよろと金のウンコの方へと向かっていく。
あ…あーあ。ガラスが割れる音。エレベーター壊れたんじゃないのかな?あと、金のウンコも破壊しているし。デザインがナンセンスだから逆に良いか。この際撤去出来て良かったんじゃない?
風神が扱っていない今なら、反対方向に風を送って相殺する事も出来るかもしれないけれど、ちょっと休まないといけないみたいだ。

頭から落ちてくる私を見て、全裸の男が慌てて着地地点になりそうなところをウロウロしている。
そろそろ体勢を整えるべきか、という所で気付いた。

『(あ、)』

体が、言う事を利かない。
/ 318ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp