第82章 80.
「ちょっと番犬マンと一緒に行動してたらね、やけに臭うっていうから来てみたんだ」
棒付きキャンディを口から取り出して童帝は言う。
正直S級ランクの者が3人もここに来てくれるというと心強い。怪人4体は互いに顔を合わせ小さく口元が動く。想定外だったのだろう、作戦会議でも練ってるのかもしれない。
「ワシはたまたま馬鹿弟子を捜しにF市に来てたら、そんな2人を見かけての」
そしたらビルの上が賑やかだったみたいでな、とバングさんは構えた。
「風神はゾンビマンと戦ってるんだよね?勝機はある?」
番犬マンは構えだとかそんな様子を見せない。
というか、どういう戦いをするのかが予想が出来ない。童帝は機械でいろいろやっているとは聞いた事があったけれど。
天空族をぼうっとした瞳で見つめる番犬マン。追い風で頭上の耳が動く。
『今、ゾンビマンが風神と対峙してる。最初は銃声が連続して聞こえてたけれど聞こえなくなって…ここからじゃ流石に状況が分からない』
後ろの方の高層ビルを見上げると、辛うじてフェンス(…と趣味の悪い金のウンコ)が見えるくらい。枯れ葉だとかが風に攫われるのをたまに見るから、多分…戦闘中だとは思う。
ふぅん、と返事が聞こえる。番犬マンの方かな?童帝もこういう返事しそうだけれど。
「で、キミ自身には風神に勝てる自信はあるの?」
振り返り、こちらを確実に見つめる瞳。
私はその瞳を見つめ返しながら、力強く頷いた。
『雷神の力が通用した。それに…とっておきの一発を食らわせれば始末出来ると思う』
「生かした方が今後の敵の情報が手に入るんだけど…手加減出来ないなら仕方ないよね」
カシャン、という音と共に童帝のランドセルからどうやって仕舞われていたのか気になるような器具が出てきた。
それじゃあ、ワシはお先に!と突っ込んでいくバング。それに続くように番犬マンも行く。