第81章 79.
「趣味が分からんって感覚は間違っちゃ居ないだろうな。それでもハルカは、顔真っ赤にして照れながら、俺を好きだって言ってくれるんだぜ?」
「クダラナイ…」
蔑んだ片目で見下され、押し付けられた指先から全身にバリバリと電気が流れる。
定期的に脈打っていた心臓の動きがおかしい事になってるのに、自分でも分かった。
分かった所で命乞いもしないし、死を覚悟するわけでもない。あわよくば風神を倒せれば良い。出来るだけ俺はこいつの相手をして、ハルカにケリを付けさせなきゃならない。
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頭上の方でどうやらゾンビマンが風神の相手をしているみたいだ。
威勢良く打たれていた銃声はもうしないから、刀や斧で戦ってるのだろうか?そう想像しながら、天空族の者を戦っていた。
実はこれ、2体目だ。一体目は隙を見てプラズマ弾を撃ち込んで殺したんだけど、潜んでいたと思われるもう一体が私の背に一発拳を当てたようだ。
前に倒れて片足の膝が痛い。手を着いたから良かったものの、下手したら歯が欠けたり鼻血を噴射していたところ。全く失礼なやつだ、と片手の脇差を握りしめる。
ゴロゴロゴロ…
大気が唸り声を上げている。
雨が一気に降り出すのももうすぐだ。さっきから数滴顔に当たったりしてるし、この日で良かったのかもしれない。
『とっととそいつみたいにやられてくれないかなぁ…』
「天空王にそいつ呼ばわりするとは…!」
あ、さっきのが天空王だったの?
驚いて死体を見る。そんなに強くなかったけど、本気出す前に殺してしまった?