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風雷暴見聞録

第81章 79.


俺はふと空を見た。飛行機は飛ぶのを控えろって言ってるのに空中がうるせぇ。と、思ったら自然の音らしい。雨と共に雷でも落ちそうだ。
オマケに俺が今対峙してる奴の力なのか、自然のものなのか。風が強くなってきやがった。
まさに今日あいつら…風神と雷神の力がぶつかる、このシチュエーションじゃないか。

刀を持ち、一歩踏み込む。
驚いた様子は見せず、横に避けられて一撃目は簡単に避けられてしまった。

「ナル、ホド……驚異のカイフク…。博士の言っていたフジミシリーズととは…オマエだったのか、フフ、ヘ…」

もう一太刀を振るう。俺の動きが遅いからか、あちらが素早いからか。あっさりと避けられてしまった。
これじゃあ時間稼ぎにしかならないが…それでも良い。ハルカの為にも、今はここで食い止めて置くべきだ。少しでも削れるものは削っておきたい。

「俺にとっちゃあ迷惑な能力だけど、な!」

遅い、と言って風でフェンスまで吹き飛ばされた。
その際に握っていた刀は、離れた所へと飛んでいった。自分の腹に手を突っ込み、隠し込んでいた銃を撃つ。風で威力が落ちて弾が床に散らばっていく。
だが、俺にはまだまだ武器がある。手に斧を持つ。

そんな俺に歩み寄る風神。


「シナナクテモ…戦闘能力はゴミ以下か。ただ…し、ウウウ…死なないだけ……そう、壊れないオモチャ」

斧の一振りは抜群だが、振りかぶるには動作が遅くなる。刀が当たらないのに当たるわけもなく。
外れた後に無理矢理頭を持ち上げられるような…そう、髪を掴まれた。短いのに、よく掴んだな、コイツ。

「ナナジュウナナゴウの…趣味が、ワカランねぇ…?」

片手の指先が眉間に近づけられ、パリッと音を立てる刺激。そうだったな、ハルカと同じ力を持っているんだったな。
けど、こんなのじゃ何度も死なない。俺を完全に殺す事は出来ない。ハルカの力以下だ。風呂場を覗いた時の力にも劣る…、本気じゃないなら。
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